Webサイト多言語化だけじゃない!インバウンドの増加で求められる多言語化シーン
Webサイト多言語化だけじゃない!インバウンドの増加で求められる多言語化シーン
近年のインバウンド増加に対応して、Webサイトの多言語化がさまざまな業界で、急ピッチで進められています。
従来は、文字から文字への翻訳が一般的でしたが、最近では文字から音声、音声から文字、音声から音声への機械翻訳も実用化されるようになってきています。Webサイト以外にも多言語化が求められるシーンはたくさんありそうです。
音声自動翻訳の現状をみてみましょう。
音声自動翻訳アプリはどの程度使える?
近年、機械翻訳の精度が大幅に向上したことで、Webサイト多言語化では機械翻訳が注目を集めています。コード入力だけで翻訳が完了する機械翻訳は、コストと時間の面で人による翻訳よりも有利なためです。
Webサイトの多言語化は、海外進出する企業を中心に進められてきましたが、今後はWebサイトに限らず、さまざまなシーンで多言語化が必要になっています。
文字ベースでのコミュニケーションよりも柔軟に個別対応が可能な音声自動翻訳は、最も活用の場が広がると期待されているもののひとつです。
音声翻訳アプリには、マイクロソフトが開発したMicrosoft Translator、Googleが開発したGoogle翻訳、独立行政法人の情報通信研究機構(NICT)が開発したVoiceTraなどがあります。
こうした音声自動翻訳アプリは、音声から文字に翻訳するものです。翻訳された文章を相手に見せて、コミュニケーションを図る使い方が想定されています。音声翻訳の音声認識技術や合成技術はすでにかなりのレベルに到達していて、少なくとも観光レベルでは実用化できる水準に達しています。
公共施設でのアナウンスや防災情報の配信に有効なナレーションサービス
音声から音声に対応する音声自動翻訳としては、パナソニックのメガホンヤクがあります。
メガホンヤクは、空港や駅、商業施設、イベント会場などで使用することが想定されている音声翻訳機です。クラウド上に日常的に使うフレーズを定型文としてあらかじめ登録しておくと、精度の高い翻訳が可能になるサービスです。大勢のインバウンド観光客に一斉に情報を伝達するのに適しています。
文字から音声に対応する多言語ナレーションサービスには、高電社のJ-SERVER Guidanceがあります。
こちらも、あらかじめ定型文を登録しておき、放送時に定型文と言語を選択することで手軽に素早く多言語放送が可能になるというものです。施設館内放送や防災行政無線、交通情報の配信といったシーンでの利用が想定されています。
音声自動翻訳は非常に便利なサービスですが、実際には事前に定型文を登録し文字から文字への自動翻訳を行っているという点で、まだ通訳に代わる水準にはなっていません。
多言語化はニューラル翻訳と人の翻訳をうまく使い分け
文字から文字への機械翻訳は日常会話や対話文は一文が短かったり、対訳文を入手しやすかったりするため、これまでもかなり精度の高い翻訳が可能でした。一方、長文や専門的な内容は商業ベースにのせるには難しいという状況が続いていました。
しかし、人工知能を搭載したニューラル翻訳の登場で、今後は複雑な構文の日本語の翻訳精度は向上していくと考えられています。
ニューラル翻訳を実装したマイクロソフトのMicrosoft Translatorでは、プレゼンテーション中に字幕を表示したり、手持ちのスマートフォンで字幕を表示したりすることがすでに可能です。
ニューラル翻訳の実用化が進むと、翻訳者は必要なくなるのでしょうか。確かに、単純な翻訳の仕事はなくなる可能性はあります。
しかし、翻訳は単純な言葉の置き換えではなく、相手にこちらの伝えたいことを正しく伝えることが目的です。大筋は機械翻訳に任せるにしても、最終段階では文化的な違いによる価値観の違いや受け手の知識レベルまで考慮した人の翻訳が必要です。
特に企業の場合は、リスクヘッジの観点からもなくならないでしょう。翻訳の世界も受け手に合ったオーダーメイドの視点が必要です。機械翻訳か人の翻訳かという二元論ではなく、上手に活用して人はクリエイティブな仕事をする方法を考えるというほうが現実的でしょう。
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