AI翻訳でベトナム人技能実習生をサポート~言語の壁を越える方法~
お客様から「機械翻訳(AI翻訳)はベトナム語もできますか?」という質問をいただくことがあります。筆者は川村インターナショナルのマーケティングチームに所属しており、その日は展示会場でお客様の翻訳に関する課題を解決するサービスのご案内を行っていました。
お客様から背景を伺うと、技能実習生として社内で働くベトナム人実習生向けの文書翻訳の需要があるとのことでした。
現在、日本の製造業やサービス業など様々な産業で多くの外国人技能実習生が働いています。特にベトナム人実習生が増加している要因として、ベトナムの若い労働人口の豊富さ、勤勉な国民性や技術吸収の速さなどが挙げられています。
このブログでは、ベトナム人技能実習生のための社内文書の翻訳について解説します。
目次[非表示]
- 1.ベトナム語とは
- 2.製造業におけるベトナム人技能実習生について
- 3.言語の壁と翻訳の課題
- 4.AI翻訳ツールの活用
- 5.まとめ
- 6.参考
- 7.川村インターナショナルのサービス
ベトナム語とは
はじめに、ベトナム社会主義共和国の公用語であるベトナム語について紹介します。ベトナム語は、ベトナムをはじめ周辺国のカンボジア、ラオス、タイに加え、中国、アメリカ、オーストラリア、カナダ、フランス、日本、韓国、ドイツ、ロシアなどに居住するベトナム系移民によっても話されています。話者数は約1億人を超えています。
現在のベトナム語表記には、17世紀にカトリックの宣教師アレクサンドル・ドゥ・ロードが考案し、フランスの植民地化以降普及したローマ字表記「クオック・グー(quốc ngữ)」が使われています。それ以前は、漢字(Chữ Hán)や、チュノム(Chữ Nôm)と呼ばれる漢字を基にした文字が使われていました。
ベトナム語は中国語やタイ語などの影響を受けた声調言語であり、各単語の発音には、6つの声調が影響します。声調は、単語の意味を区別するために重要な役割を果たします。そのため、下記の例のように同じアルファベットを使用しても、どのタイプのアクセント記号がつくかによって単語の意味が変わるため、慣れないと覚えにくく複雑に感じてしまうかもしれません。
表記 |
発音 |
意味 |
ma(アクセントがない場合) |
ま(平坦な音調) |
亡霊、幽霊 |
má(鋭いアクセント) |
ま↑(音が上がる) |
母親(南部方言で使われる) |
mà(平らなアクセント) |
まー(音が長く伸びる) |
接続詞「しかし、だけど」 |
mả(問うアクセント) |
ま↘(音が下がる) |
墓 |
mã(波状アクセント) |
ま↗↘(波状に音が上下する) |
馬 |
mạ(点付きアクセント) |
まっ(音が短く途切れる) |
苗 |
製造業におけるベトナム人技能実習生について
どれくらいのベトナム人が技能実習生として来日しているのでしょうか。厚生労働省のデータによれば、外国人労働者の国籍別ではベトナムが最も多くなっています。そしてベトナム国籍の方の在留資格別では技能実習、就業先の産業別では製造業が最も多くなっています1。
[別表7]国籍別・産業別外国人労働者数
外国人技能実習機構のWebサイトでは、言語別のナビゲーションの並び順が日本語、英語、中国語に続き4番目にベトナム語が表示されています※2。このことからも、ベトナムから技能実習生が多く来ていることがわかります。
※2 参照:外国人技能実習機構
言語の壁と翻訳の課題
実習生がベトナムから日本に来て、全国各地で仕事をしながら技能を学ぶ際、大きく立ちはだかるのが言語・コミュニケーションの壁でしょう。効果的なコミュニケーションを確保するために日本語教育教材などもありますが、企業内には、労働安全・健康管理の資料、作業手順書や製品マニュアル、社内規定など日本語で書かれた多様な文書が存在し、多くの場合それはベトナム語には翻訳されていません
前述の展示会では「ベトナム語と日本語ができる実習生に翻訳をお願いしているが、その一人への負担が大きく申し訳ない。実習も忙しいのであまり頼むことができない」というお話も伺いました。
実習生が安心安全かつ効率的に働くためには、文書を母国語で提供することが重要です。しかし外国人を雇用する事業所の多くが「30人未満」規模であり、翻訳費用の関係から翻訳できる文書が限られるなど、企業側と実習生側の双方に負担の少ない翻訳環境が必要です。
AI翻訳ツールの活用
そこで役立つのが「AI翻訳活用プラットフォーム XMAT」です。A4用紙1枚のお知らせからマニュアルまで、社内のパソコンで簡単に文書の翻訳が可能です。最終的な確認は人の目が必要ですが、一から翻訳を外注する必要はなく、文書に修正が入っても何度でも翻訳できます。
テキストから文書まで翻訳でき、さらに自社専用にカスタマイズすることで専門用語や社内用語の翻訳精度をより高めることも可能です。
翻訳の課題にAI翻訳を活用し、実習生が安心安全かつ効率的に働ける環境を整えることは、受け入れ側としての企業価値を高めることにもつながります。ぜひお気軽にご質問ください。お客様のご要望に応じた最適な翻訳ソリューションをご案内いたします。
まとめ
毎年ベトナム人技能実習生は増えていますが、ここ3年間では全体に占める割合が減少しています。それにはベトナム国内の就業機会の増加、他国での就労機会の増加などが要因とされています。日本が外国人労働者にとって安心して働ける国として選ばれることが必要です。
国内の人手不足の深刻化、今後の外国人材の確保を背景に、2024年6月、将来的に技能実習制度を廃止し、育成就労制度に移行することが参院本会議で可決・成立しました。国際貢献が目的の技能実習制度から、長期にわたる人材の確保と育成を目的とし、外国人の人権保護・労働者としての権利性の向上を含む育成就労制度に改正されます。
制度の見直しにより、今後日本で暮らす外国人の増加が見込まれています。日々の生活サポートなど多文化共生の取り組みは重要性を増すことでしょう。これからもすべての人々が円滑な社会生活やコミュニケーションを行えるよう、言語の問題を支援していきたいと思います。
参考
川村インターナショナルのサービス
XMATでは翻訳文字数を気にせず、高品質かつ安全な機械翻訳を提供することができます。川村インターナショナルでは機械翻訳サービスの提供だけではなく、より円滑な翻訳業務ができるよう、様々なご提案をさせて頂いています。翻訳の課題をお持ちの法人・個人のお客様はお気軽にお問い合わせください。
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