あなたはいくつ知っている? かばん語(Portmanteau)とは
ゴジラはなぜゴジラという名前なのか知っていますか?実はゴジラという名前はゴリラとクジラを組み合わせて作られた名前で、ゴリラのような力強さとクジラのような体の大きさという2つの要素を持ったゴジラを表現しています。このように、異なる単語とその意味を組み合わせた言葉のことを混成語あるいはかばん語と言います。今回はこのかばん語について紹介していきます。
目次[非表示]
- 1.なぜ「かばん」?
- 2.この言葉も!よく知られたかばん語
- 2.1.Brunch(ブランチ)
- 2.2.Motel(モーテル)
- 2.3.Smog(スモッグ)
- 3.エンタメにまつわるかばん言葉
- 3.1.Bromance(ブロマンス)
- 3.2.Dramedy(ドラメディ)
- 4.次々登場!新しいかばん語
- 5.複合語との違い
- 6.まとめ
- 7.川村インターナショナルのサービス
なぜ「かばん」?
かばん語は英語ではPortmanteau(ポートマントー)と言います。Portmanteauはもともと両開き式の旅行かばんのことを指しています。なぜ混成語にこのような名前が付いたのでしょうか?実はルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」の中で、ハンプティ・ダンプティというキャラクターが以下のように混成語を紹介したことに由来しています* 。
|
上記のように表現されたことで、このような言葉を英語でPortmanteau Wordと呼んでいましたが、次第にPortmanteauと省略されるようになりました。このタイプの旅行カバンが少なくなったことで、本来の意味でこの言葉が使用されることは今ではほとんどなくなっています。日本語でも、この「鏡の国のアリス」における旅行カバンという例えからかばん語と呼ばれるようになり、現在ではかばん語、あるいは英語からそのまま「ポートマントー」と呼ばれています。
* 参照:かばん語 - Wikipedia
この言葉も!よく知られたかばん語
まずは歴史が長く馴染みのあるかばん語から紹介していきます。
Brunch(ブランチ)
日本でもよく使われていて、馴染みのある言葉ですが、朝食と昼食を兼ねた食事のことです。Breakfast(朝食)のBrとLunch(昼食)のunchを合わせてBrunchです。初出は19世紀ごろとされており、イギリスの週刊誌で使用された後、アメリカやカナダなどを中心に学生の間でスラングとして流行しました。
日本では時間に関係なく朝食と昼食をまとめた食事として使われますが、本来は午前10時以降にとる朝食兼昼食の食事を指します。10時前にとる食事はBreakfast(朝食)になります。
Motel(モーテル)
自動車で移動する人のためのホテルのことです。日本にはあまりない形態ですが、海外ドラマや映画に登場しているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。自動車(Motor)のためのホテル(Hotel)という意味のかばん言葉です。 英語辞書に載ったのは第二次世界大戦の後です。
Smog(スモッグ)
車や工場の排気ガスなどの煙で汚れた霧を指す、SmokeとFogを組み合わせた単語です。
エンタメにまつわるかばん言葉
映画やドラマなどにおいては、かばん言葉が特に頻繁に生まれています。ある作品が2つのジャンルの要素を含んでいる時や、かばん言葉によって既存のジャンルをさらに分類することで新たなジャンルが生まれたりもします。
Bromance(ブロマンス)
BrotherとRomanceをかけわせた言葉です。男性同士の近しい友情関係のことで、兄弟のように仲が良くいつでも一緒にいるような関係性を指します。最近ではこのように仲の良い男性同士の関係性や男性同士の友情を描いた作品を「ブロマンスもの」というジャンルとして扱うこともあります。
Dramedy(ドラメディ)
DramaとComedyのかばん語です。元となる単語から分かる通り、ドラマとコメディの要素をミックスした映画やドラマを指します。新しいジャンルとして海外では急速に人気を集めているようです。
映像作品などではジャンルが複数存在していて区別するのが難しい場合もあります。どちらのジャンルの要素もあるということを伝えるときには、かばん言葉はぴったりの表現方法かもしれません。
次々登場!新しいかばん語
Hangry
一見するとHungryのスペルミスにも思えますが、これが正しい表記です。Hungryとangryを組み合わせたこの表現は、「お腹がすいてイライラする」ことを指しています。初出は1918年(Hangry Definition & Meaning - Merriam-Webster)で、2018年2月にはオックスフォード英語辞典にも登録されました。
Chillax
Chill(落ち着く)とrelax(リラックスする)を組み合わせた、「落ち着いて心を休める」「まったりする」という意味のスラングです。元々の単語と組み合わせた後の単語で大きく意味は変わりませんが、このかばん語を使用することで、それぞれ元の単語を単独で使うよりも意味合いが強くなります。初出は1994年(Chillax Definition & Meaning - Merriam-Webster)とかなり新しく生まれた表現で、カジュアルな表現の若者言葉と言えます。
Frenemy
こちらはFriend(友達)とEnemy(敵)という正反対の言葉を組み合わせたかばん語です。「ライバルであり友達でもある人」というポジティブな意味もありますが、ほとんどの場合「友を装う敵」という意味で使用されます。日常的には、友達のふりをして陰では悪口を言っている人を表現する言葉です。そのほか、友好的に見せかけて実際は敵対関係にある国、という意味で使用されることもあります。
Emoticon
EmotionとIconのかばん語です。英語で顔文字のことを指します。絵文字を英語でEmojiということをご存知の方も多いかもしれませんが、顔文字を「感情」と「アイコン」という単語で表現するのは分かりやすくて面白いですね。
複合語との違い
複数の単語を組み合わせて1つの言葉にするかばん語とよく似た考え方に複合語があります。複合語もかばん語と同様に2つ以上の単語を組み合わせて1つの単語とするもので、例えばhoneybee (honey + bee)やboyfriend (boy + friend)があります。では、その違いは一体どこにあるのでしょうか?
かばん語と複合語を見分けるには、組み合わせた言葉から元の意味のある単語に分解できるかどうか、という点に着目します。
かばん語は、基本的には1つめの単語の前半と2つめの単語の後半を、両方の単語に共通する文字や発音の配列で繋いで作られています。例えば、スプーンとフォークが一つになったカトラリーであるSpork(スポーク)はSpoonとForkを組み合わせた言葉ですが、構成要素となる2つの単語はそれぞれ一部ずつしか使われていません。元の意味のある単語に分解することはできないので、Sporkはかばん語だと言えます。
一方、複合語は構成要素となる単語がそのまま並べて組み合わされています。例えば、前述のhoneybeeはhoneyとbeeという2つの意味のある単語に分解できます。つまり要素となる単語の一部ではなく全部をそのままつなげて作られた単語が複合語になります。他の例としては、seatbeltもseatとbeltの2つの単語に分解することができるため、複合語だと言えます。
まとめ
普段慣れ親しんでいる言葉の中にもたくさん隠れているかばん語。簡単な英単語の組み合わせで生まれるかばん語は、英語学習者にとっても直感的に意味を理解しやすく、新たな表現として取り入れやすいものも多くあります。ぜひ身近な言葉の中のかばん語を探してみてください。
川村インターナショナルのサービス
川村インターナショナルでは、IT・ローカリゼーション、医療機器・医薬、観光・インバウンド、製造業、金融・ビジネス・法務、SAP 関連文書など、幅広い分野の翻訳を扱っております。お客様の業種・専門分野に応じて最適な翻訳者が対応いたします。弊社の審査基準をクリアした、経験豊富なプロの翻訳者ですので、品質の面でもご安心ください。
翻訳会社への翻訳依頼をご検討されている方は、お気軽にご相談ください。
関連記事