逆翻訳:機械翻訳の品質を向上させるヒント
逆翻訳(バックトランスレーション)という言葉をご存じでしょうか。逆翻訳とは、ある言語から別の言語に翻訳した後、その翻訳文を再び元の言語に戻すことです。逆翻訳をうまく活用することで、翻訳の品質・翻訳工程の効率をあげることが可能です。逆翻訳自体は人手翻訳でも行われてきましたが、今回は機械翻訳における逆翻訳にフォーカスして、そのメリットについてご紹介いたします。
目次[非表示]
- 1.機械翻訳の逆翻訳を試してみる
- 2.逆翻訳の活用
- 2.1.多言語翻訳の品質を担保
- 2.2.ポストエディットの負荷軽減と品質向上
- 3.逆翻訳の注意点
- 4.まとめ
- 5.「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」
機械翻訳の逆翻訳を試してみる
早速、機械翻訳の逆翻訳を行ってみましょう。今回は弊社が提供する機械翻訳エンジン「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」に付帯している逆翻訳機能を使用していきます。 まずは日本語の文章を英語に機械翻訳で翻訳します。
ここで、英語の品質に問題がないかを確認するために、逆翻訳を行います。この画面では、翻訳後の文章を選択し、クリックすると逆翻訳の結果が表示されます。
原文と逆翻訳の文を見るとほぼ同じ意味になっています。日本語から翻訳した英文を原文として再度日本語に翻訳しなおしていますので、この2つの日本語文の意味が一致していれば、最初の英語の翻訳結果の質が良いということが確認できます。
では次に、この逆翻訳の機能をどういった場面で活用できるか詳しく見ていきましょう。
逆翻訳の活用
逆翻訳機能をどのように活用するか、実際のケースを見ていきたいと思います。
多言語翻訳の品質を担保
上記例では日本語⇔英語で確認をしたため、機械翻訳後の英語の品質が悪くないということが逆翻訳をかける前にわかる方もいらっしゃったかと思います。しかし、ユーザーが学んだことのない言語でコミュニケーションを行わないといけない場合、逆翻訳は特に有用です。
例えば、ベトナム語でお客様にメールを送付しないといけないとします。
メールの文面をベトナム語に機械翻訳します。
筆者はベトナム語を学んだことがありませんので、この翻訳が信頼できる結果かわかりません。そこで、逆翻訳機能を使用します。
逆翻訳した日本語文を原文と比較すると、逆翻訳後の日本語は少しぎこちなくは感じられますが、「トライアル(体験利用)の開始を希望する日付を教えてほしい」という要旨は一致しています。そのため、翻訳したベトナム語の文で主旨は伝わりそうだということがわかります。
「みんなの自動翻訳@KI」では中国語、韓国語などはもちろん、ベトナム語やヒンディ語などのアジア言語からヨーロッパ言語まで幅広く対応していますので、ご自身が知らない言語でもある程度のコミュニケーションをとることが可能になります 。
ポストエディットの負荷軽減と品質向上
2つ目の活用方法として、逆翻訳をかけた後、原文を修正し、また機械翻訳にかけることで後修正や推敲の作業を軽減し、品質を高めることができます。
まずは文章を機械翻訳にかけてみます。
そして、逆翻訳にかけてみます。
もともとの文にあいまいな点が多いこともあり、逆翻訳はさらにわかりづらくなってしまっています。また、1文が長いと翻訳の品質が落ちる傾向があるため、原文に情報を補い、1文を2つの文に分けてみます。
新しく作成された英訳文を逆翻訳にかけて検証してみます。
「手翻訳」という明らかにおかしい訳が「人力翻訳」になるなど、少し訳が変化したのがお分かりいただけるでしょうか。逆翻訳機能を用い、誤訳や質の良くない翻訳結果が出た場合は、文章を短くする、あいまいな部分をわかりやすくするなど原文に手を加えることで、機械翻訳の訳文の品質を改善・後修正の工程を短くすることも可能です。
逆翻訳の注意点
翻訳を行う際には固有名詞や専門用語を正確に再現し、感情や微妙なニュアンスを正確に伝えることが求められます。通常の翻訳と逆翻訳のどちらであっても、機械翻訳を利用する場合は、その限界を理解した上で活用することが重要です。正確性を確保するには人の手で修正や検証を行うことが望ましいため、翻訳の用途に照らして機械翻訳の活用方法を検討されることをお歓めします。
また従量課金制の機械翻訳サービスを契約されている方は、逆翻訳後に原文を修正して再度機械翻訳をかける場合は翻訳文字数が再度カウントされ、機械翻訳の累積文字数が増加することになりますので、注意をする必要があります。
まとめ
本ブログでは逆翻訳機能のご紹介と、活用方法についてご紹介しました。機械翻訳は完ぺきではないので、もちろん人が修正をしていく必要がありますが、その負担・手間を軽減する方法の1つとしてご活用いただければ幸いです。
「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」
今回の逆翻訳機能で使用した国産の機械翻訳サービス、「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)によって開発された「みんなの自動翻訳@TexTra®」のセキュリティ性などを高め、ビジネスでも利用できる仕様にしたサービスです。
専門分野に特化した複数の機械翻訳サービス(汎用/ 特許/特許審決等 /金融(IR/適時開示)/金融サービス/法令契約/サイエンス/ニュース)をすべて利用可能で、専門用語や文章構造など、分野に応じた機械翻訳処理ができることで、精度の高い翻訳を得ることが可能です。
2週間無償でトライアルができます。ぜひお試しください。
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