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形容詞の語順に気を付ける

日英翻訳のコツ 語順に気をつける~形容詞編~

日本語は語順に関する自由度が比較的高い言語です。対照的に、英語は語順に対して厳格な言語です。このため、語順に気を付けるということは、日本語を英語に翻訳する際のひとつの重要なポイントとなります。今回は、英文における語順について、特に形容詞の語順についてお伝えしたいと思います。

形容詞は名詞や代名詞を修飾する機能を持つ品詞です。英語における形容詞の用法は大別すると二種類あり、動詞の後ろに置かれ、補語として機能する叙述用法と、名詞の前に置かれ、修飾する名詞の性質や属性を明確にする限定用法があります。形容詞の語順は、様々な形容詞を名詞の前に列挙することができる後者の場合の問題となります。

    目次[非表示]

    1. 1.Beautiful red house but not red beautiful house
    2. 2.English blue cheese or blue English cheese?
    3. 3.美しい赤い家=赤い美しい家?
    4. 4.まとめ
    5. 5.川村インターナショナルの翻訳サービス

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    Beautiful red house but not red beautiful house

    制限なしにというわけではありませんが、日本語は比較的語順の自由度が高い言語です。これは形容詞についても当てはまり、例えば、「美しい赤い家」のことを「赤い美しい家」と言い換えても日本語としての違和感はありません。これに対して英語では、「beautiful red house」と言う表現は自然なものですが、「red beautiful house」では違和感を覚える話者が多いものとなります。同様に、「old British car」は自然ですが、「British old car」は不自然に響きます。

    なぜこのような不自然さが生じるのでしょうか。そこには形容詞の内容が関係しています。英語では、名詞の前にふたつ以上の形容詞を続けて使用するとき、形容詞の内容によって使用する順番が厳格に決まっています。基本的には、下記の順序に並べるのがルールとなります。


    1. 意見、評価(beautiful、excellent、interesting)
    2. 寸法、大きさ(large、small、tall、long)
    3. 性質(soft、thick、smooth、sharp)
    4. 年齢、年代(young、new、old、contemporary)
    5. 形状(round、square、triangular)
    6. (red、green、black)
    7. 国、地域、民族などの由来(Japanese、European、Tuscan、Arabic)
    8. 材質、素材(cotton、leather、steel、gold)
    9. 目的、用途、限定詞(cooking、cleaning、writing)

    先ほどの例文を見てみますと、「red beautiful house」では色(6)意見(1)の前に、「British green car」では由来(7)年代(4)の前に来てしまっているため不自然なものとなっていたのです。

    English blue cheese or blue English cheese?

    形容詞の語順は上記の通りにするのが原則ですが、もちろん例外もあります。例えば、「英国(産)のブルーチーズ」を英語にするとき、先ほどのルールに従うとblue(諸説あるようですが、ここでは色(6)と考えます)にEnglish(由来(7))を続けて、「blue English cheese」という訳語が考えられるかと思います。

    ところが、ルール上では問題のないように見えるこちらの訳語ですが、この言葉が意味するのは「青い英国のチーズ」、つまり「青い色をした英国産のチーズ」ということになり、なんだかおかしな感じです。


    なぜこのように感じるかというと、blue cheeseは(もともとはそうだったのかもしれませんが現在では)「青いチーズ」というよりも「ブルーチーズ」というひとつのチーズの種類を指しています。blueとcheeseの結びつきが強固で、言ってしまえば二語でひとつの名詞を形成しているようなものです。そのため、ふたつを切り離してその間にほかの語を挿入してしまうとチーズの種類としての「ブルーチーズ」が見えなくなり、かわりに「青いチーズ」が現れてくるのです。

    同様に、「Orwellian short story」ではオーウェル風のショートストーリーを意味し、文学作品のジャンルが想起されますが、「short Orwellian story」では、単に短いオーウェル風のお話を意味します。

    ​​​​​​​

    美しい赤い家=赤い美しい家?

    ところで、「美しい赤い家」でも「赤い美しい家」でも日本語としての違和感はありませんが、与える印象は微妙に異なるのではないでしょうか。

    これは、日本語では複数の修飾語が名詞に係る場合、名詞の直前に位置するものがその名詞と最も強く結びつくからです。つまり、「美しい赤い家」では、まず家が赤いという認識がありその家が美しいのであり、「赤い美しい家」ではまず家が美しいという認識がありその家が赤いのです。非常に微妙な差異ですが、場合によっては、重要な差異を生む可能性はあるでしょう。


    まとめ

    いかがでしたか?本記事では、日本語から英語に翻訳する際の重要なポイントとして、語順に気を付ける点をご紹介しました。英語でも日本語でも、伝えたいことが正確に伝わるわかりやすい文章を心掛けたいですね。


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