翻訳会社についての豆知識 ~よくある質問⑤見積金額と依頼時に必要な情報~
翻訳会社によって見積金額が大きく違うのはなぜ?
翻訳を依頼する場合はどのような情報が必要?
翻訳の依頼を検討している人も、すでに依頼している人も必見!お客様の疑問を解消する「翻訳会社についての豆知識シリーズ・第五弾」です。翻訳会社のことを知らない方も、翻訳会社と取引をしたことがある方も、様々な方に翻訳会社を知っていただくためのコーナーです。
今回の記事で回答する質問は以下の2点です。気になる方はぜひご一読ください!
目次[非表示]
その1 翻訳会社によりお見積金額が大幅に違うことがあるのはなぜですか?
回答:
翻訳会社によって契約している翻訳者の単価や、納品までの作業工程が異なるからです。
翻訳作業が必要になり、翻訳会社に相見積を取ると、競合する会社間で金額が近い場合もあれば、最安値の会社は最高値の会社の半額くらいの金額を提示してくることがあります。それほど金額に差が出ると最安値の会社に依頼したくなってしまいますが、なぜ翻訳サービスでこれほどの違いが生じるのでしょうか。
まず基本的な考え方ですが、たいていの場合、納品物の品質は金額に比例します。いわゆる「ものづくり」の現場もそうですが、よいものを作るとなると、それだけ費用がかかります。一方で高い品質を求められないのであれば、原料等のコストを安く抑えられますから、当然のことながら品物を安く提供できます。翻訳も一般的には金額が高いほうが品質も高いといえます。では、翻訳サービスの金額の違い、つまり品質の違いはどのようなところに表れるのでしょうか。
1) 翻訳者の単価
翻訳会社は通常外部にいるフリーランスの翻訳者に翻訳を依頼しています。多くの場合、翻訳者にはあらかじめ締結した契約単価にもとづいて発注をします。翻訳者の力量は様々で、これまでの実績やトライアル評価などの情報をもとに単価が決定されます。翻訳者へ支払う金額は、当然のことながら翻訳会社から出てくる見積金額に影響を与えます。見積金額が安いということは、原価の要素である翻訳者への支払い費用が安い可能性があります。翻訳者への支払い費用(翻訳者の単価)が安いということは、翻訳者の力量が高くないことが予想されます。一般的には単価の高い翻訳者のほうが、経験もあり、品質が安定しています。
2) 作業工程の違い
翻訳会社が納品までの作業をどう進めるかも、金額に影響を及ぼします。一般的に翻訳会社は翻訳作業後にチェックを行って納品していますが、その方法(作業工程)が金額に関わってきます。
例えば、次のようなケースが考えられます。
ケース1 全数チェックと部分チェック
全数チェックのほうが時間も金額もかかりますが、その分品質は安定します。部分的なチェックならば当然時間や金額を抑えられますが、エラーのリスクは増えます。
ケース2 ネイティブチェックと対訳チェック
日英翻訳を例にとると、日本語ネイティブによる翻訳後に、英語ネイティブによるネイティブチェックというやり方もあれば、英語ネイティブによる翻訳後に、日本語ネイティブによる対訳チェックというやり方もあります。
前者はネイティブチェックを行っていますが、誤訳があった場合はネイティブチェックでは修正できない場合があります。一方、後者の場合は英語ネイティブが翻訳を行うため、翻訳にネイティブチェックが含まれています。その後に第三者が対訳チェックを行うことで、誤訳などのエラーがあってもそれを修正することができます。こちらは一般的に後者のほうが高くなります。
このように翻訳会社が契約している翻訳者の単価や、作業工程の違いにより、金額は変わってきます。また一般的にではありますが、品質は金額に比例します。
その2 翻訳を依頼する場合、どのような情報を伝える必要がありますか
回答:
納期、金額、用途をお伝えください。
翻訳を依頼するとき、通常対象となる原稿を渡して見積依頼をします。見積を確認し、金額・納期ともに問題なければ発注という流れになります。そこで、見積依頼時にどのような情報を伝えたらよいでしょうか。
1つ目は納期です。3週間後に行うイベントで使用するのに、1ヶ月後に翻訳原稿を納品されても意味がありません。通常、見積時に翻訳会社が出す納期は概算納期です。クライアントからの発注が確定していない時点では、翻訳者への発注ができず、実際の納期調整は発注確定後に行うことになるためです。その概算納期も情報が何もなければ、翻訳会社は一般的な概算納期を提示します。ただし、上記のように3週間後のイベントで使いたいという希望があれば、できる限り希望の納期に合わせた体制を組む想定で納期の回答をします。場合によっては、翌日までに発注すれば希望納期に間に合うなど、発注期限も併せて提示します。
2つ目は金額です。予算が20万円なのに、30万円の見積があがってくれば頭を悩ますだけです。予算などの情報を先に伝えておけば、可能な限り翻訳会社も予算を考慮して見積を作成します。サービスパターンを複数持っている翻訳会社の場合は、お客様の予算にあうサービスパターンと具体的なサービス内容を説明して見積を提示します。
3つ目は用途です。例えば、スピーチで使用する原稿なのに、堅苦しい表現で翻訳をしていたら、いい翻訳とは言えません。翻訳を行う上で、どのような用途で使用するかは非常に重要です。
例えば、あるカタログのPDFを送って、翻訳の見積を依頼するとします。そのカタログの翻訳データまたは印刷物をそのままエンドユーザーに渡すのか、または社内で参考程度に使うのかで、求める品質が大きく変わります。
前者であれば間違いが許されませんが、後者であれば参考程度ですから多少エラーがあっても大きな問題にはなりません。さらに後者の場合、そもそも要求品質が高くないのであれば、そのサービスレベルに応じた金額と納期を提示することもでき、過剰なサービス提供を防ぐことも可能です。そして、適切な品質のサービスを、適切な価格と納期で提供することができるようになります。
このように、翻訳の依頼時に必要な情報を事前に提供することで、コミュニケーションがスムーズになり、希望通りの条件で作業してもらうことができます。
おわりに
今回は翻訳会社間の見積金額の違いと、翻訳依頼時に伝えるべき情報についてご紹介しました。本シリーズでは、過去にいただいたお客様からのよくある質問に回答しています。過去の記事はこちら。
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