欧州翻訳紀行 vol.1 スペイン語
そもそもスペイン語って?
FIGSにも含まれるスペイン語は、スペインはもとより中南米諸国で使用されている主要言語の一つです。
英語、フランス語、アラビア語に次ぐ第四番目の主要言語として20以上の国および地域で使用され、国際連合における公用語の一つに定められています。
話者の数では中国語、英語に次ぎ三番目であり、その数は5億人以上に上ると言われています。
言葉の特長
スペイン語は「神への言葉」とも言われ、その歴史は古代ローマ帝国の代までさかのぼります。
当時、古代ローマ帝国の公用語だったラテン語が、長期間の文化的熟成を経てロマンス語へと変化し、ゲルマン語やアラビア語などの影響を受けながら、15世紀後半にスペイン王国の公用語として成立しました。
その後、新大陸(南米大陸)への大航海~領土拡大を経て、中南米諸国に広まりました。
フランス語、ポルトガル語、イタリア語なども同じくラテン語(ロマンス語)を緒元としており、特にポルトガル語は言葉の成立過程がスペイン語と類似していることから、互いにコミュニケーションが可能なくらい似ています。
翻訳時の注意点
スペイン本国からアメリカ合衆国南部~中南米諸国まで、世界中で広く使用されているスペイン語。
特に中南米は日本からの進出企業も多く、また日本への出稼ぎ労働者も多いことから、スペイン語翻訳のニーズは日々増加しています。
しかし正しいスペイン語に翻訳するためには、「主要言語」ならではの注意が必要です。
仕向け地によって適訳が異なる
まず気をつけなければいけないのが、対象となる「仕向け地」です。
基本的な文法や構文は同じものの、展開する国および地域(=仕向け地)によって単語や表現が異なります。
同じ単語でも、欧州と南米では意味が変わってしまうことがあるため、注意が必要です。
欧州向けスペイン語には特殊な方言がある
欧州向け、中米向け、南米向けで、それぞれ適訳がことなるスペイン語ですが、欧州向けスペイン語にはさらに特殊な方言(公用語)があります。
一般的にスペイン語というと、カスティーリャ地方で使用されるカスティーリャ語を指しますが、スペイン本国ではこのカスティーリャ語以外に三つの公用語が使用されています。
カタルーニャ語(Catalan)
バルセロナをはじめ、カタルーニャ地方で話される言葉で、カタロニア語とも呼ばれます。
フランスとの国境付近に位置することから、フランス語の影響を強く受けていると言われています。
ガリシア語(Galicia)
スペイン北西に位置するガリシア自治州で話される言葉。
位置的に近いことから、スペイン語よりもむしろポルトガル語に類似している言葉です。
バスク語(Basques)
スペイン北部バスク自治州で話される言葉。
カスティーリャ語をはじめとした他のスペイン語方言とは全く異なる言語で、世界一難しい言語と言われています。
カスティーリャ語は日本語でいうところの「標準語」に該当します。
そのため、ガリシア自治州やバスク自治州でも通じますが、商品説明や交通案内などは各方言との併記になってることが多いです。
特にバスク語は全く系統の異なる言語のため、バスク地方向けの展開を予定しているのであれば「バスク語」への翻訳を指定する必要があります。
男性名詞と女性名詞
対象とする仕向け地が決まり、実際に翻訳を進める上で気を付けたいのが「名詞」です。
英語や日本語を母国語とする人にとっては、なかなか理解が難しいのですが、スペイン語では一つ一つの名詞がそれぞれ「性別」を持っています。
例えば、
- 太陽(=el sol)は男性、月(=la luna)は女性
- お金(=el dinero)は男性、銀(=la plataは女性
- 天使は(=el anjel)は男性、平原(=Vega)は女性
※複数系にするとLos Angeles、Las Vegasとなり、アメリカ合衆国の都市を指します。
中には、男性と女性の両方を持ち、それぞれ異なる意味を持つものもあります。
- el capital(資本)は男性
- la capital(首都)は女性
川村インターナショナルのスペイン語ソリューション
母音の発音が日本語と似ていることもあり、比較的習得しやすい外国語として日本でも学ぶ人が増えていますが、名詞の性別分けや動詞変化をはじめ、仕向け地に応じた訳し分けなど、正しく翻訳するためにはやはりプロフェッショナルのサポートが必要です。
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