東南アジア最前線! つかめ!ASEANドリーム!Vol.5
そもそもベトナム語って?
ベトナムの公用語はもちろんベトナム語。
国民の大多数であるキン族の言葉で、現在約7000万人の話者がいます。
縦に長い国土で構成されていることもあり、北部、中部、南部でそれぞれ異なる方言が使われています。
首都ハノイが位置する北部の言葉が標準語とされていますが、地域によって使用する単語や発音がかなり違うことから、同じベトナム語話者間でも通訳が必要なこともあります。
また、その複雑な歴史的背景から、欧米や中国など他国の言葉の影響を多大に受けてきたこともあり、他の東南アジア諸国とは全く異なる言語体系を有しています。
言葉の特長 : ベトナム語
シンプルな文法
日本語や英語では時制や人称、単数・複数によって、単語の語形変化を伴いますが、ベトナム語では単語そのものが変化することはありません。
語順の変化によって過去・現在・未来、そして人称の違いを表すことができます。
声調記号とアルファベット
タイ語のシャム文字、ミャンマー語のビルマ文字、ラオスのラオ文字。
東南アジアでは特殊な文字を使用する言葉が多いですが、ベトナム語では英語同様、アルファベットが使用されます。
F, J, W, Zが使われず、発音の観点からDが二種類存在する意外は、英語と全く同じです。
タイ語と同じように声調記号を伴って表記されるため、一見非常に複雑な言葉に見えますが、実は我々日本人にとっては認識しやすい言葉の一つなのです。
昔は漢字表記だった
現在はアルファベットで表記されるベトナム語ですが、実は漢字起源の言語で、昔は中国や日本と同様、漢字で表記されていました。
遥か昔、中国の支配地域であったことから、その当時のベトナムでは漢字による表記が採用されていたのです。
その名残りからか、同じ漢字圏の日本語と似た発音の単語が数多く存在します。
チュノム
漢字起源のベトナム語ですが、11世紀には「チュノム」という固有の文字が開発されました。
しかし、その表記体系は非常に複雑で習得が難しかったことから、あまり広まらなかったようです。
言葉というのは、難しすぎてもダメなんですね。
ベトナム正書法(チュー クォック ングー)
その後、19世紀後半に、フランス統治下に入った頃から、欧米文化の影響を大きく受け、1945年ベトナム独立の際に、現在の表記(クオックグー)が国語として制定されました。
当時の大統領、ホーチミン大統領により、識字率向上のため、アルファベットでの表記を公式とする制定がが出されました。
この公式表記に声調記号を加えた現在の表記方法を「正書法=チュー クォック ングー」といいます。
翻訳時の注意点
桁区切り
千や百万など数字の桁数を表す際、日本やアメリカでは、「,(=カンマ)」が使われますが、フランス文化の影響を大きく受けてきたベトナムでは、「.(=ピリオド)」を用います。
反対に、小数点を表す際、日本や欧米で「.(=ピリオド)」を使用するのに対し、ベトナム語では「,(=カンマ)」が用いられます。
小数点 |
桁区切り |
|
日本語 |
1.0 |
1,000 |
ベトナム語 |
1,0 |
1,000 |
仕様書や契約書などを翻訳する際には、特に注意が必要です。
音訳表記
一般的に、人名や地名などの固有名詞を翻訳する際、その言葉が持つ意味ではなく、読み方(音)に基づいて訳出します。
ベトナム語翻訳においてもこれは同じですが、同じ単語であっても、北部・中部・南部の方言によって、発音が異なります。
公式文書や一般的な文書であれば、標準語である北部(ハノイ)の発音に基づけば問題ありませんが、特定地域の広告文などは、その地域の発音に合わせて訳出するのが望ましいです。
川村インターナショナルのベトナム語ソリューション
ベトナム語はアルファベットで構成されるため、他のアジア言語に比べると、割とシンプルな言語かもしれません。しかし声調記号や桁数区切りの取り扱いには熟練したネイティブの経験が必要です。
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