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医薬品・医療機器 翻訳サービス:翻訳に必要な医学的知識 No.14 | 主な症状の解説⑦

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Ⅶ. やせ(るい痩):Loss of Weight

1) やせ(るい痩)についての基礎知識

「やせ」は体脂肪の過度の減少(Abnormal Depletion of Body Fat)から始まり、筋肉、骨など総ての体組織が消耗した状態である。肥満がBMI≧25であるのに対し、「やせ」はBMI≦18.5と定義する。例えば、身長170㎝の場合、体重が72.2㎏以上ならば肥満、53.5㎏以下ならばBMI≦18.5で「やせ」となる。

「やせ」には、

ダイエットなどによる意図的なやせ(Voluntary Weight Loss)

意図しない「やせ」(Involuntary Weight Loss)

があるが、医学的に問題となるのは後者で、BMI≦15のやせは病的と思ってよい。

戦争、地震、台風などの自然災害や干ばつなどによる大凶作により、地球上では、飢餓(Starvation)による栄養失調や極度のるい痩のひとは、現在でも多数存在する。1945年戦後間もない日本では、正規の配給のみに頼り、闇物資の購入による食糧調達を拒否し、餓死したひとも実際にいた。

精神性食欲不振症(Anorexia nervosa)は、ほとんどが若い女性で、最初はダイエットのつもりで始めたことが、病的な食欲不振症に移行することがある。

成人の体重減少は、単に加齢による場合もあるが、意図しないのに2-3ケ月で5㎏以上もやせた場合は病的であり、糖尿病や悪性腫瘍(胃がんなど)を疑う必要がある。

2)「やせ」の鑑別診断(Differential Diagnosis of Weight Loss)

体重減少を主訴とした主な疾患

1.がん(胃がん、大腸がん、肝がん、肺がんなど)16-36%

2.精神疾患(うつ病、高度の不安神経症など)9-20%

3.消化器疾患(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎など)15%

4.内分泌疾患(糖尿病、甲状腺機能亢進症、副腎不全症など)頻度は不明

5.感染症(結核、HIV(エイズ)、細菌性心内膜炎など)頻度は不明

6.循環器疾患(うっ血性心不全 Congestive Heart Failure)頻度は不明

7.神経疾患(脳卒中、認知症など)頻度は不明

8.慢性呼吸不全(肺気腫など)頻度は不明

9.慢性腎不全(尿毒症)頻度は不明

10.膠原病(Connective Tissue Disease)頻度は不明

11.原因不明(特発性 Idiopathic)頻度は不明

註:数字は「やせ」を主訴として来院した成人を母集団とした時の、おおよその頻度

3) 「やせ」で注意すべきこと

詐病(Malingering) による「やせ」
食欲不振を訴え、意図的に食餌を拒否し、周囲の同情を得ようとする詐病で、演技も上手で、見破るにはしばしば時間がかかり、精神性食欲不振症(Anorexia Nervosa:AN) と誤診される場合がある。しかし、詐病でANのように極端にやせることはまずない。

歯科疾患が原因で食餌が摂れない場合

味覚異常(Dysgeusia)による食欲不振
味覚異常は、ACE阻害剤(Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor)の副作用のことがある。ACE 阻害剤(カプトリル、インヒベース、ロンゲスなど)は使用頻度が高い降圧剤のひとつである。

嚥下障害(Dysphagia)を伴う場合: 食道がんを疑う

下痢(Diarrhea)を伴う場合
潰瘍性大腸炎Ulcerative Colitis)やクローン病(Crohn’s Diseasse)の鑑別が重要。 下痢と便秘を繰り返す場合:大腸がんを疑う。

若い女性の場合:精神性食欲不振症(Anorexia Nervosa)を疑う。

精神病:うつ病(Depression)の可能性に注意

薬剤の副作用の可能性
例:甲状腺ホルモン剤や利尿剤の過剰投与 など

主な症状の解説は以上とし、冬の到来と共にインフルエンザが流行する季節となったので、次回はかぜとインフルエンザについて解説する。

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毛利昌史

毛利昌史

東和病院名誉院長。東京大学医学部医学科卒業。米国ミネソタ大学留学(フルブライト留学生)ミネアポリス市Mount Sinai Hospital勤務。帰国後、東京大学第二内科助手、東京大学医学部附属病院中央検査部講師、三井記念病院呼吸器センター内科部長などを歴任し、平成15年に国立病院機構 東京病院名誉院長に就任。その後化学療法研究所付属病院院長、東和病院院長を経て現在は東和病院名誉院長。

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