導入事例

国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学

数理・データ科学教育研究センター
中岩浩巳特任教授

音声認識+機械翻訳を活用して講義動画の翻訳費用を50%低減

名古屋大学 数理・データ科学教育研究センターでは、数理・データ科学分野の教育コンテンツを開発・提供し、多様なレベルの人材育成を行うことを通じて、学術の発展と、社会課題の解決に貢献することをミッションに掲げています。今回は同センター所属の中岩浩已特任教授に、講義動画の翻訳の事例についてお聞きしました。
  • お客様の要望  膨大な量の英語講義動画に日本語字幕を付けたい
  •  選定の決め手 AI、機械翻訳、ポストエディットを活用できるノウハウ
  •  得られた効果 他社との比較で、動画の翻訳+編集費用を50%削減 
01

現在、先生が携わられている研究・教育活動について教えてください ―

名古屋大学に来るまで、私は企業の中で機械翻訳と自然言語処理といった言語系の研究に携わってきました。私が産業界出身というのもあり、今でも毎年5社ぐらいの企業と連携して、企業のデータを活用した共同研究案件に携わっています。

たとえば、工場のいろんなプロセスで生まれるデータを分析して、製造過程における生産性を向上したり、不良品を削減したりするなど、課題解決の共同研究もしています。
共同研究活動と並行して、データサイエンティスト - データを価値に変えるスキルを持った学生、もしくは社会人を育成するという教育活動に力を入れています。

私の研究室では、単に講義を聴いたり、ウェブ上にあるオープンデータを活用して分析したりするのではなくて、本当に企業が困っている課題を一緒に解決する場を体験したい方々をターゲットにしているのが特徴です。
特に企業に所属している人は、なかなか他社の分析はできないので、大変貴重な経験になります。そして、これこそが名古屋大学の教育プログラムのコアコンピタンス、1番の差別化ポイントかなと思っています。
02

依頼の背景について教えてください ―

我々は教育活動の一環として、以前からデータサイエンス分野のさまざまな講義を提供していました。その講義は、修士・博士の5年間のリーディングプログラムとして、データサイエンス分野のプロフェッショナルでありながら、グローバルリーダーとしても活躍できる人材を育成することが目的でした。当然、グローバルな活躍を想定していますから、講義はすべて英語で実施されていました。

ところが数年前に、リカレント教育を含めて、全学的にデータサイエンス教育を展開することになったことをきっかけに、こうした講義データを、一般の日本人の大学院生や社会人にも役立つ教育コンテンツとしても活用しようと考えました。

そこで、講義動画を翻訳して日本語字幕を付けて編集できる業者を探していました。
03

川村インターナショナルを選んだ理由を教えてください―

まず、今回は単純な翻訳ではなく、動画の編集が必要でした。講義データは1時間程度のものが50件程度あって、通常の動画翻訳のやり方では膨大な時間とコストがかかります。
できる限り多くの教材を学生に提供するためには、発想の転換が必要でした。そこで以前から日本翻訳連盟(JTF)などでお世話になっていた川村インターナショナルさんに声をかけました。

何より川村インターナショナルさんは、早い段階で機械翻訳を中心とした多様な技術を活用して翻訳業務を効率化しているという点で、こういう案件には1番適しているのではないかということで、相談をしました。

実際、川村インターナショナルさんとは、プロジェクトの仕様をお伝えしたうえで、さらにAIや機械翻訳、ポストエディットを活用する前提で見積もりの相談ができたのが大きいと思います。当初、従来の動画制作の手法で対応するほかの業者の見積金額と比較して半値程度で実現できる対応方法を検討してくれました。

「(機械翻訳の)技術だけがあっても、それをうまく使うスキルが無いとうまくいかないと思います。

川村インターナショナルさんは、以前から先進的に取り組まれているので、

その点は安心してお任せできました。」(中岩氏)

04

納品物に対する印象はいかがでしたか―

最初にいくつかの講義についてサンプルを出してもらって、事前に成果物の品質レベルを確認できました。そのうえでお願いしてはいたのですが、機械翻訳のあとに人手で修正した結果とは思えないくらい、しっかりとしてとても良い翻訳でした。
我々も機械翻訳の研究をしてきたわけですが、やはり任せられるところは機械に任せた方がいいなと改めて実感しました。
一般に音声認識技術も人間と同等の性能が出ていますし、機械翻訳も、深層学習などの最新技術がアップデートされていて、品質も向上しています。

でも、そうした技術だけがあっても、技術をうまく使うスキルが無いとうまくいかないと思います。川村インターナショナルさんは、以前から先進的に取り組まれているので、その点は安心してお任せできました。

講義には学生はもちろん、社会人も学費を払って参加してもらっていますから、当然おかしな翻訳字幕付きの動画を出すわけにはいきません。一方で、書籍のように、広い範囲の人々に触れるようなコンテンツではないのも事実なので、費用対効果は大切だと思っていました。

そういう意味で、トライアルで品質を確認して、要求品質や条件のバランスをお互いにすり合わせながら、ちょうどいいところに落とせたと思います。
05

実際に講義動画をご活用いただいてどのような効果がありましたか ―

講義動画を見る社会人と修士のコースは日本語の授業がメインですので、演習のような講義を字幕付きで見てもらって本当に満足してもらえるかが1番不安でした。でも、受講後のアンケートを見ても翻訳に違和感があるとか、問題があるとかいうような意見は出ていません。
逆に英語の講義を日本語にすることで、日本人にとっては理解度がかなり上がったと思います。

講義は口語ですし、スライド、先生の動きやポインターで情報を補足するなど、画像と会話のマルチモーダルで理解できるのは、講義動画の良い点かと思います。そういう意味でも、機械翻訳結果にチェックと修正を入れたコンテンツはやはり役に立つと思います。今後も、講義の動画には、字幕はできる限り付けたいと感じています。
06

今後弊社に対して期待することや要望はありますか ―

データサイエンス系の教育は、各大学がバラバラにやるよりも、日本全体とか世界全体で共有していく方向に向かっていると思います。どの大学、どの国でも実施されているような一般的な講義内容、たとえば、MITとかスタンフォードの講義コンテンツの中には、世界中の学生が視聴できるものもありますよね。
でも、特定の分野の、特定の技術に関するコンテンツはまだまだ全然足りていないと思っています。今回の内容も、特定分野の技術に特化したものでしたが、こういうコンテンツを多言語化して世界に発信しようとすると、人手の翻訳ではコストがかかりすぎてしまいます。

今回のように機械翻訳を活用して翻訳することによって、日本発の、あらゆる分野の網羅的な講義コンテンツの海外展開が可能になると思います。
その意味では、日本語の教育コンテンツを英語にすることはいつかやりたいと話しています。
網羅的な分野の教育コンテンツを世界に発信するお手伝いをしてもらいたいですね。

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