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特許翻訳

これからの特許翻訳⑦特許翻訳とみんなの自動翻訳@KI(商用版)

近年、翻訳業界全体では機械翻訳の技術が大きく向上するなど、状況は変化しつつあります。今回は、産業翻訳の中でも特殊といえる特許翻訳とは、特許翻訳の今後について、プロフェッショナル2名をお招きし、機械翻訳の影響、またコロナ禍の現状など、お話を伺いました。


目次

知財業界、特許翻訳の特色
特許翻訳の現状 コロナ禍の影響
特許翻訳の現状 関東と関西の違い
特許翻訳と翻訳支援ツール(CATツール)
翻訳支援ツール(CATツール)と翻訳メモリの活用
特許翻訳と機械翻訳
特許翻訳とみんなの自動翻訳@KI(商用版)
特許翻訳とポストエディット
ツールとコトバの根本的な問題
人の翻訳の必要性と機械翻訳との共存


特許翻訳とみんなの自動翻訳@KI(商用版)

糸目:
誤解を招きやすい原文に対しては、ミスリードされた状態で機械翻訳があがってきます。ただし、自分が原文にミスリードされていて、機械翻訳をみて「あ、そういう事か」と気が付くこともあります(笑) 


片岡:
あります(笑)。前にちょっとびっくりしたのが、「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」
を使ったとき、明細書のとある1文に「図」という言葉がありました。普通なら”figure”と訳しますが、そうではなく、”graph”と翻訳されたんですが、実際の図をみたら本当にグラフだったことがありました。すごいな、と感心しました。 

葉山:
ちょっとだけ宣伝になってしまいますが、「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」は、2018年からサービス開始しましたけども、その中の1つに特許エンジンというのがありまして、これが結構好評です。2019年時点では、品質的に今一つかなと思っていましたが、2020年の3月にバージョンアップしたときに、私の目から見ても劇的に品質が上がりました。それより前にお試しになって導入を断念された方は、是非もう一度お試しいただきたいと思っています。 

  特許文書に特化した国産ニューラル自動翻訳エンジン 「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」 特許文書に特化した機械翻訳エンジンの活用「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」セキュリティ・品質面も安心。公報の調査や出願明細書の下訳として機械翻訳を活用したい場合など、様々な場面で利用が可能です。 翻訳会社川村インターナショナル


糸目:
私も「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」で、かなり労力節約させていただいています(笑)。かなり危ないものもうまいこと訳してくれますよ。原文がちょっとあいまいな場合でも、綺麗に訳してくれます。 


片岡:
主語を補ってくれる、というところも、今までの機械翻訳では考えられなかったですね。 

葉山:
ありがとうございます。特許事務所さんだけではなくて、メーカーの知財部さんにもご案内していますが、特許翻訳の需要を特許事務所からいただく出願用の翻訳と、メーカー知財部からいただく調査用の翻訳との大きく2つに分けるとします。調査用の方はおそらくこの数年で、人手の翻訳のご依頼はかなり減少しているんじゃないかなと思っています。 

ひと昔前だと、公報番号の一覧を連絡されて、これらのアブストラクト、あるいは独立クレームを訳してくださいっていうような、まとまったご依頼もありましたが、こういったお仕事は、機械翻訳の影響で減ってきていると感じてますね。 

糸目:
そうですね。私が特許事務所に勤めていたときから、その類の文献の翻訳は劇的に減ってきてます。特許庁のグローバルドシエを使えば、そこに英文がありますし、制度上、それを使ってもよいとされています。特許庁に提出する文献でも、人の翻訳者が関わることがないものもあると思います。 


葉山:
メーカーさんの目線では、翻訳を依頼する際の公報は、それ自体は公のものなので機密情報ではないのですが、どういう公報を調べているのかということ自体が、機密情報にあたります。

だからその情報を翻訳会社にも出したくないということであれば、機械翻訳をライセンス導入して、社内でどんどん翻訳をかけるという方が、そういった面でのリスクもないと思います。そのあたりも考慮するとやはり皆さん機械翻訳を活用されるのが当たり前になっているのかな、と思っています。 

糸目:
人間の翻訳者としてもやはり戦々恐々としています。 

葉山:
でもやはり、先ほど片岡さんがおっしゃったみたいなところは、機械翻訳ではカバーができないので、まだまだ活躍いただける需要はありますよね。 


糸目:
噂で聞いた程度の話ですが、弁理士さんの中には出願のときはまず機械翻訳にかけてそのまま出して、特許審査の過程で必ず拒絶理由通知書が届くので、それが発行されたときに補正で対処する、というすごく雑な出願をされている方もいるそうです。果たしてそれでお客さん(メーカー)は良いのかは疑問ですが。


葉山:
とにかく他社より先に出願してしまうという戦略的なものもあるかもしれませんね。
 

糸目:
翻訳料金は特許出願時には非常に費用負担が大きいので、そこを削減したいというお客さん側の気持ちも分かります。 


片岡:
でも、特許は審査されるまでが全てではなくて、審査後にも係争事例があります。特許査定が出たものを修正するのは簡単ではないので、不完全なものを出す怖さはあると思います。 

実際、公報の翻訳でも異議申し立ての翻訳だと隅々まで読まれるので、機械翻訳ではなくて必ず人手でやってくださいと言われたことがありました。 

葉山:
そうですか。勉強になります。ありがとうございます。 


⑧に続く

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