
投資の基礎:米国経済指標キーワードまとめ
2024年1月に新NISAがスタートし、米国株や全世界株のインデックスに連動する投資信託などが人気を集めています。外国の重要経済指標の推移が以前より注目されるようになったためか、TVニュースでも経済指標のキーワードを時々耳にするようになりました。
経済指標の値、推移、予想値との乖離は、経済全体の健全性や方向性を観察するための重要なデータです。例えば中央銀行は、目標である「物価の安定と金融システムの安定(日本銀行)」「物価の安定と雇用の最大化(FRB)」のため、物価や景況感の指標、賃金、失業率などを観察し、それを金融政策に反映します。機関投資家は指標その他から経済の方向性を織り込んでリスクを判断し、ポートフォリオを管理し、取引に反映します。個人投資家も投資判断のために指標を用います。このため、経済指標は金利や株価に大きく影響します。また金利動向や金融政策は為替にも影響を与えます。
経済は多様な要因が複雑に絡み合って変動し、その時間軸も年次単位の長期的なものから数日~月次の短期的なものまでさまざまです。そのため、新しい経済指標が1つ発表されても株価の反応は様々で、単純ではありません。それでも、データは経済動向を判断する上で決定的な役割を果たします。
ニュース記事などではしばしば略号で表される経済指標ですが、元の用語がわかれば何の指標か調べなくてもわかるようになります。例えば、CPIはconsumer(消費者) price(価格) index(指標)の略です。
本記事では、投資の際に気になる米国の経済指標について、英語と日本語を対にしてまとめてみました。
目次[非表示]
- 1. 毎月発表されるもの
- 2. 年数回発表されるもの
- 3. 指標以外
- 4. まとめ
- 5. 川村インターナショナルのサービス
毎月発表されるもの
※米国指標、2024年6月、週別。2024年6月1日は土曜日でした。
月により発表週がずれる場合があります。
指標(英語) |
指標 (日本語) |
説明 |
第2週 |
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S&P Global US Manufacturing PMI (Manufacturing Purchasing Managers Index) |
製造業購買管理者指数 |
製造業セクターにおける購買担当者の活動レベルを測定した指標。 |
ISM Manufacturing PMI (ISM Manufacturing Purchasing Managers Index) |
ISM製造業購買担当者景気指数 |
製造業における景況感を示す指標。400以上の企業の購買担当者にアンケート調査を行い、発表される。 |
JOLTs Job Openings (Job Openings and Labor Turnover Survey) |
JOLT求人労働異動調査 |
雇用、求人、採用、離職に関するデータを雇用主から収集して、求人の空き状況を測定した指標。 |
ADP Nonfarm Employment Change |
ADP非農業部門雇用者数 |
約40万の米国企業クライアントの給与データに基づいて、非農業部門の民間雇用の月次変動を測定した指標。 |
S&P Global Services PMI (Services Purchasing Managers Index) |
サービス業購買担当者景気指数 |
サービス業の購買担当者の景況感を測定する指標。 |
ISM Non-Manufacturing PMI (ISM Non-Manufacturing Purchasing Managers Index) |
ISM非製造業購買担当者景気指数 |
非製造業における景況感を示す指標。370以上の企業の購買担当者にアンケート調査を行い、発表される。 |
Crude Oil Inventories |
原油在庫量 |
米国の企業が在庫として保有する商業用原油量を週間で測定する指標。(毎週発表) |
Initial Jobless Claims |
失業保険申請件数 |
失業者がはじめて申請した失業保険給付の申請件数を測定する指標。(毎週発表) |
CES (Current Employment Statistics) |
雇用者統計 |
非農業部門の雇用、労働時間、給与所得に関する詳細な産業別推計。 |
Average Hourly Earnings (MoM) |
平均時給 (前月比) |
農業部門以外の主要産業の1時間当たりの平均賃金の増減を公表したもの。 CESの一部。 |
Nonfarm Payrolls |
非農業部門雇用者数 |
農業部門を除く前月の雇用者数の変動を測定した指標。 CESの一部。 |
Unemployment Rate |
失業率 |
労働力人口に占める失業者の割合。 CESの一部。 |
第3週 |
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Core CPI (MoM) (Core Consumer Price Index) |
コアCPI (前月比) |
食料品やエネルギーを除いた商品とサービスの価格変動を測定する指標。消費者の視点から価格変動を測定する。 |
CPI (YoY) (Consumer Price Index) |
消費者物価指数 (前年比) |
米国国内の物価の上昇・下降等の変動を表す経済指数。衣料や食料品等の約200項目の品目の価格の変化を調査して指数化したもの。 |
CPI (MoM) (Consumer Price Index) |
消費者物価指数 (前月比) |
同上 |
PPI (MoM) (Producer Price Index) |
生産者物価指数 (前月比) |
国内生産者が販売する商品やサービスの価格を測定する指標。 |
Initial Jobless Claims |
失業保険申請件数 |
|
第4週 |
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Core Retail Sales (MoM) |
コア小売売上高 (前月比) |
自動車を除いた米国の異なる種類や規模の小売業者へのサンプリングに基づく売上高の調査。 |
Retail Sales (MoM) |
小売売上高 (前月比) |
米国の様々な規模の小売店の売上を月毎に測定する指標。 |
Initial Jobless Claims |
失業保険申請件数 |
|
Philadelphia Fed Manufacturing Index |
フィラデルフィア連銀製造業景気指数 |
フィラデルフィア地区の製造業部門の景況感を測定する指標。 同地区の約250の製造業者を対象に現状と半年先の景況感についてのアンケート調査からまとめたもの。 |
Crude Oil Inventories |
原油在庫量 |
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S&P Global US Manufacturing PMI (Preliminary release) |
製造業購買管理者指数 (速報) |
製造業セクターにおける購買担当者の活動レベルを測定した指標。確定値に先立って発表される速報値。 |
S&P Global Services PMI (Preliminary release) |
サービス業購買担当者景気指数 (速報) |
サービス業の購買担当者の景況感を測定する指標。確定値に先立って発表される速報値。 |
Existing Home Sales |
中古住宅販売戸数 |
前月に販売された中古住宅戸数を測定するもの。 |
第5週 |
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CB Consumer Confidence (Jun) (Conference Board Consumer Confidence) |
消費者信頼感指数 |
5000世帯を対象に、景気や雇用情勢などについて消費者に調査した結果。 |
New Home Sales |
新築住宅販売戸数 |
前月に販売された新築住宅戸数を測定する指標。 |
Crude Oil Inventories |
原油在庫量 |
|
Durable Goods Orders (MoM) |
耐久財受注 (前月比) |
耐久財の出荷、在庫、新規受注額、受注残高の統計。 |
Initial Jobless Claims |
失業保険申請件数 |
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Core PCE Price Index (YoY) (Core Personal Consumption Expenditure Price Index) |
コア個人消費支出価格指数 (前年比) |
食品とエネルギーを除く、消費のために消費者が購入した財とサービスの価格変動を測定するもの。 |
Core PCE Price Index (MoM) |
コア個人消費支出価格指数 (前月比) |
同上 |
Chicago PMI |
シカゴ購買部協会景気指数 |
米シカゴ購買部協会が発表する景気指数(シカゴPMI)。シカゴ地区(イリノイ州、アイオワ州、インディアナ州、ミシガン州、ウィスコンシン州)の製造業部門の景況感を示す。 |
年数回発表されるもの
※年に数回発表されるGDPは、一定期間内に国内で生産された財やサービスの総額を表します。経済成長率はこのGDPがどれくらい伸びたかを示します。経済全体の健康状態を測る重要な指標です。表は米国GDPで、それぞれに異なる意義があります。
指標(英語) |
指標(日本語) |
発表時期 |
意義 |
GDP (Advance Estimate) |
国内総生産 速報値 |
四半期終了後翌月末(1, 4, 7, 10月) |
迅速な情報提供 |
GDP (Second Estimate) |
国内総生産 改定値 |
速報値発表の約1か月後(2, 5, 8, 11月) |
より多くのデータを反映した詳細評価 |
GDP (Final) |
国内総生産 確定値 |
改定値発表の約1か月後(3, 6, 9, 12月) |
最も正確なデータを反映し、公式記録として利用される |
発表日は通常第4週目の木曜日ですが、具体的な日付はカレンダーによって若干変動することがあります。
指標以外
FOMC(Federal Open Market Committee)連邦公開市場委員会
※年8回、約6週間ごとの火曜日(2日間の場合は火-水曜日)に開催。米国の金融政策を決定する会合。市場関係者の予想との乖離があれば株式市場や為替市場が大きく変動することもあります。以下は2025年の開催日と、各種資料へのリンクです。
The Fed - Meeting calendars and information
開催回 |
2025年開催日 |
第1回 |
1月28日・29日 |
第2回 |
3月18日・19日 |
第3回 |
5月6日・7日 |
第4回 |
6月17日・18日 |
第5回 |
7月29日・30日 |
第6回 |
9月16日・17日 |
第7回 |
10月28日・29日 |
第8回 |
12月9日・10日 |
まとめ
筆者自身、次に発表される指標は何だろう、といつも気になっていましたが、まとめてみて頭の整理になりました。このブログが、指標を確認するときの参考になればうれしいです。
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