ユーザーインターフェースの進化の歴史
現代の生活においてPCやスマートフォン、タブレットに触れていない人はほとんどいないと思いますが、その際に「ユーザーインターフェース」に触れていると意識している人はほとんどいないでしょう。
いわゆる現在のコンピューターが今の形になったのは最近のことで、ユーザーインターフェースの進化がデジタルデバイスの普及の一助になっていることは明確です(幼い子供でも巧みにタッチパネルを使いこなす場面に遭遇したことがある人も多いはずです)。そんなユーザーインターフェースの歴史を紐解きながら、UI の進化、そしてそれをどのように翻訳しているかなどにも言及していきたいと思います。
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そもそも「ユーザーインターフェース」とはなにか
人と道具をつなぐものとして、数々の「インターフェース」が存在します。車と人であればハンドルやブレーキが「インターフェース」であり、コンピューターと人を物理的につないでいるものはキーボードやマウスでしょう。
今回とりあげるのは、人がコンピューター上でなんらかの命令を行い、コンピューターに処理を実行させる際の「インターフェース」です。まさしく「操作する人(User) + 接点(Interface)」として、人とコンピューターの間にも様々なインターフェースが存在してきました。
ユーザーインターフェースの歴史
コンピューターにおけるユーザーインターフェースの起源は、テープやカードに打ち込まれた命令を読み込ませるバッチインターフェースから始まりました。その後、より柔軟な命令を使用者が行いやすいようにするために、テキストで直接入力するコマンドラインインターフェース(CUI。CLI とも言われる)へと進化しました。いわゆるユーザーインターフェースの誕生です。その後、コンピューターのグラフィック性能の向上に伴い、1980年代以降はグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)が生まれ、我々が普段触れているアイコンやタイルの源流となりました。現在ではUIといえばこのGUIを指すのが一般的です。
GUI が誕生したことで、我々はウィンドウやアプリの操作時に、たとえばアプリケーションを起動させる際に「コマンドをテキストで打つ」代わりに「アプリケーションを判別できるアイコンをダブルクリックする」という直感的な作業が可能となりました。これによりPCを扱える人々は爆発的に増えました。一般的にはWindows 95の登場がこのGUI革命の立て役者であるとされています。そしてこのPCの普及がのちのスマートフォンの普及の足がかりとなったことは明白です。
また、PC だけではなく、インターネットの普及により Webサイトが生まれ、そのサイトを「デザインする仕事」も発生しました。PCのパフォーマンス向上、ネットワークの高速化に伴い、Webサイトはテキスト、画像、動画を巻き込み、急激な発展を遂げていきます。
そして iPhoneに始まる「スマートフォン」の登場により、ユーザーインターフェースは究極の形を与えられます。「常に携帯でき、常にネットワークにつながり、常に進化できるデバイス」としての地位を確固たるものにします。タッチパネルで直感的に操作することができ、音声での指示や入力も可能となりました。GUIを超えたインターフェース、ナチュラルユーザーインターフェース(NUI)の誕生です。
ユーザーインターフェースの思想
ユーザーインターフェースが抱える問題点、課題とはなんでしょうか。それは常に、ユーザーインターフェースは人の感情に応える必要があるという点です。「わかりやすい」「反応が早い」インターフェースを求めているということですが、裏を返せば「わかりにくく」「反応が悪い」インターフェースであるという感想を持つと、製品の本質的な出来とは関係無く操作することを断念したり嫌悪感すら持たれたりする可能性があるということです。
この点を解消するためにユーザーインターフェースは進化してきたと言えるでしょう。
コンピューター言語に近い、コマンドラインを打ち込んでいたCUI、専門的な知識を(ある程度)不要にしたGUI、直感的な操作を可能にして小さな子供ですら扱えるようにしたNUI。
その先にあるのはオーガニックユーザーインターフェース(OUI)だと言われています。定義としては「オーガニックユーザーインターフェース(OUI)とは、物理的な入力によって変化する、平面ではない表示装置をもっているユーザーインターフェースである。OUIは、いかなる形にも変化可能な、出力装置であると同時に入力装置としても使えるディスプレイによって特徴づけられる」であるとされています。この思想を具体化したデバイスはまだほとんど出現していないため具体性に欠けますが、既存のホワイトボードのようなものが瞬時に入力デバイスにも出力デバイスにもなるような、現在のデバイスを超えたものが生まれることが期待されます。
ユーザーインターフェースの翻訳
ユーザーインターフェースはソフトウェア/アプリケーションの一部であるため、様々な国で使用される場合にはユーザーインターフェースが現地の言葉でローカライズされます。
ローカライズは文章の翻訳だけでなく、デザインや表記といったあらゆるものを、各地域に受け入れられるように最適化することを指します。
ユーザーインターフェースの翻訳を行う際に念頭に置いておくべきことは、その設計と同様に「ユーザーの感情を大事にする」ということです。操作に迷いを生じさせないだろうか、選択肢を正しく選べるだろうか、間違った指示になっていないだろうか、そういったユーザーの感情に寄り添った判断が重要となります。
時には原文を超えた判断が必要な場合もあります。そのような高度な判断ができる知識や経験、および発注者との関係性が必要であり、原文にこだわるよりも大事な点があることを念頭に置いておきたいです。
まとめ
今回は皆さんが普段目にしているUIの歴史や進化をご紹介しました。UIは人がコンピューターを操作するために重要な要素ですので、ことさらUI翻訳においてはユーザーの感情に寄り添った、高度な判断が必要になります。どんなUIが使いやすくて、わかりやすいのか考えながら、様々なWebサイト やアプリケーションを見てみるのも面白いかもしれません。
川村インターナショナルのサービス
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またRigiを用いることで、WebアプリケーションのUI翻訳における各種課題を解決し、ローカリゼーションプロセス全体を効率化することができます。本来多くの工数が必要とするUI翻訳を格段に効率化できますので、ぜひトライアル等お試しいただければと思います。
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