人事・労務業務にまつわる「名前」のはなし
人事や労務の仕事に携わっていると、数多くの方のお名前を見る機会があります。人事の仕事内容は何となくお分かりになるのではないかと思いますが、労務はピンとこない方もいるかもしれません。労務とは、従業員の労働時間の管理や、給与の計算など労働に関する事務処理や管理業務のことを指します。また保険に関する業務も含まれるため、従業員の名前を間違えたりすると大きなミスにつながりかねません。
人事・労務に携わるスタッフが、これまで業務の中で経験した名前にまつわるエピソードをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.氏名は必ずコピペする
- 2.タカハシさん・サイトウさん・ワタナベさん問題
- 3.漢字似過ぎ問題
- 4.ビジネスネームを使いたい
- 5.新姓か旧姓かどっち派?
- 6.まとめ
氏名は必ずコピペする
人事系の業務では何度も氏名を入力する作業があります。求人応募受付の管理表に始まり、無事入社が決まれば、社員証や日付印の発注、社会保険等の加入手続、各アカウント類の作成、社員データの追加等々。メールのやり取りも含めれば何十回となりますが、一番気を付けているのは、たとえ直接入力した方が速い場合でも、必ず履歴書PDF等の元データから氏名をコピペ(コピー&ペースト)するということです。筆者も過去に失敗したことがありますが、名前の入力は、案外人間の思い込みで打ち込んでしまったり予測変換をそのまま確定してしまったりとミスが起こりやすいところなので、特に重要な手続の際は必ずコピペするようにしています。
タカハシさん・サイトウさん・ワタナベさん問題
では、ここからは、名前にまつわるややこしい問題についてご紹介していきます。よく聞く話かもしれませんが、同音の漢字が何種類もある姓を持つ方の手続は要注意です。
高なのか、髙なのか。
斉なのか、斎なのか、齊なのか、齋なのか。
辺なのか、邊なのか、邉なのか、はたまた部なのか……。
もう拡大しないと見えません、拡大しても分かりません。何ならご本人も間違いに気づいていない時すらあります。実際に、申告どおり手続をしたら後で違う字だったということが分かり、修正の手続をしたことがありました。
また、姓だけでなく下のお名前でも、郎と朗などは間違いやすいため、注意が必要です。同じ読みの名前なのにいくつも漢字の表記が異なるのは、日本語ならではという感じがしますね。
漢字似過ぎ問題
先ほどの問題にもちょっと近いですが、形が似ているのに読み方が異なる漢字はさらに要注意です。
例えば、萩なのか、荻なのか。
昔いた会社の先輩は「荻野(オギノ)さん」をずっと「ハギノさん」と呼び続け、なぜか何か月も経ってからご本人に「今さら言いづらいんですけど、オギノなんです。」と気まずそうに言われていたのを目撃しました。筆者も恥ずかしながらその話を聞いた時に初めて「オギ」と「ハギ」の違いを知りました。
ビジネスネームを使いたい
ここからは、少し視点を変えて、会社で使用する名前について、考えてみたいと思います。
これまでにお二人「ビジネスネーム」を使用したいという人がいました。お一人は本名の漢字をカタカナに、お一人は本名の漢字を読みは同じで別の漢字にしてお仕事をされていました。カタカナにしていたのは幹部の方でインパクトを強くするため、漢字を変えたのは営業職の方で画数をよくして縁起を担ぎたいという理由でした。
また、知り合いの美容師さんに聞いた話では、多くのお客様と近い距離で接する職業柄、本名でお仕事をすると様々な情報から住所等を特定されつきまとい等の被害に遭うケースがあり、その防止のためにビジネスネームで活動される方が多いそうです。例えば「MIKA」とか「ATSUSHI」とか、美容院のサイトのスタイリスト紹介でよく見ませんか?
もちろん会社によってはビジネスネーム不可というところもあります。
新姓か旧姓かどっち派?
ご結婚をされ、姓が変わって、新姓と旧姓のどちらでお仕事をするか選ぶ場面があるかもしれません。最近では旧姓のままお仕事をされる方が増える傾向にありますが、こちらも業界や社風によって大きく違いがあります。あくまでも個人的な体感ですが、社内報でお祝いの欄がある場合や朝礼でご結婚のお知らせ等の慣習がある会社では、それをきっかけに新姓に変えられる方が多かった印象です。そこで「新姓は○〇になります」や「仕事は旧姓で続けます」等と宣言する形です。時代の流れで社内報や朝礼でそういったお知らせをするところは減ってきているかもしれません。各職場の雰囲気によるところもありますが、筆者としては、ご本人が望む姓を選べるのが一番だと思います。
まとめ
ここまで、名前にまつわるエピソードをご紹介してきました。
名前というのは不思議なもので、普段は呼び間違えたりしないのに、文字(特に漢字等)を見る時は脳がおおまかな形で自動処理してしまうということはありませんか? 以前、同じ職種で同じ部署に苗字が一字違いの名前の従業員(例えば松田奈々さんと松井奈々さんのような)が在籍していました。口頭ではフルネームで呼ばないこともあり、お二人を呼び違えることはなかったのですが、書類やデータで処理する際には、たまに「どっちだっけ?」と考える瞬間がありました。
人事・労務業務では非常に重要な「名前」。皆さんもぜひ書類やメールを作成する時は、間違いがないかよく確認してみてください。
関連記事