Trados Studio 2021 ―高度な表示フィルタ機能2.0について―前編
※この記事は2022年4月時点での情報を元に作成しています。
Trados Studioは、RWS社の販売する翻訳支援ソフトウェアで、多くの翻訳会社で活用されています。
筆者はここ数年memoQ、XTM、PhraseなどのCATツールを使うことが多く、Trados Studioは使う機会がなかったのですが、最近またTrados Studioを使用するようになり、最新版の機能を確認しています。
今回は、最新版のTrados Studio 2021で組み込まれた高度な表示フィルタ2.0についてご紹介したいと思います。(高度な表示フィルタ2.0はTrados Studio 2017および2019では「Community Advanced Display Filter」というプラグインで提供されていました。)
目次[非表示]
- 1.標準の表示フィルタ
- 2.高度な表示フィルタ2.0
- 3.「コンテンツ」タブ
- 3.1.原文と訳文のAND/OR検索
- 3.2.DSI情報
- 3.3.正規表現
- 3.4.タグコンテンツを検索
- 4.フィルタの「反転」検索
- 5.まとめ
- 6.川村インターナショナルの翻訳サービス
Trados Studio 2021には2つのフィルタ機能が提供されています。
- 標準の表示フィルタ
- 高度な表示フィルタ2.0
標準の表示フィルタ
こちらは、以前から提供されていた標準の表示フィルタです。さまざまな観点で分節をフィルタでき、用語の検索もできるため非常に便利です。複雑な検索を行わない場合であればこの機能で十分だと思います。
高度な表示フィルタ2.0
Trados Studio 2021から組み込まれた高度な表示フィルタ2.0は、パワーユーザ向けの機能です。標準の表示フィルタにはない多くのオプションを利用でき、分節に対して詳細なフィルタを実行できます。翻訳業務では、用語や表記の統一にフィルタ機能が欠かせません。高度なフィルタ機能があれば効率よく確実に作業を進めることができます。
「表示」タブの「情報」エリアに「高度な表示フィルタ2.0」があります。クリックすると「高度な表示フィルタ2.0」画面が開きます。
「コンテンツ」タブ
「コンテンツ」タブでは、テキストによるフィルタリングの条件を設定できます。
原文と訳文のAND/OR検索
「AND」は原文の条件と訳文条件の両方に一致する分節のみを表示し、「OR」は原文の条件または訳文の条件のいずれかに一致する分節を表示します。
DSI情報
特定のセグメントタイプをフィルタできます。たとえば、ヘッダーのみを表示したい場合などに使えそうですね。
正規表現
正規表現を使う検索は非常に便利です。使ったことがない方には少しハードルが高いかもしれませんが、以下の関連記事を参考に試してみてください。
タグコンテンツを検索
タグコンテンツとは、タグ内のテキストです。たとえば、タグ内に「bold」(ボールドタグ)が含まれるものをフィルタしたい場合に利用できます。テキストとタグコンテンツをフィルタ対象にしたい場合は「テキストとタグコンテンツを検索」をオンにします。
フィルタの「反転」検索
「指定した条件を含まないもの」をフィルタできる機能です。
たとえば、句点「。」を含まない分節をすべて出力する場合、以下のように設定して「反転」をクリックすれば訳文に「。」が含まれない分節がフィルタされます。
以前筆者は「指定した条件を含まないもの」をフィルタしたいときに、正規表現の否定形を作ることができず、わざわざExcelに出力して確認していました。品質保証ツールのXbenchでもこの機能はサポートされていません。まさに、「この機能あればいいのにな」と思っていた機能です。
まとめ
今回はテキストによるフィルタリング(「コンテンツ」タブ)を中心にご紹介しました。
「高度な表示フィルタ2.0」はオプションが非常に多く、複雑なフィルタリングが可能です。
「コンテンツ」タブ以外の機能については、次の記事でご紹介したいと思います。
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