動画翻訳のルール ~記号編②中黒、ダッシュ、三点リーダ~
企業による情報発信のツールとして、動画制作が多く行われています。国内向けのみならず、ローカリゼーションのため様々な言語に翻訳されています。
そして、視聴覚的な情報が含まれる動画翻訳には、特有のルールや指針が存在します。前回の記事「動画翻訳のルール~記号編①句読点、引用符、括弧~」に引き続き、その中の一つである「記号」についてご紹介します。前回比較した3種のガイドラインに加え、日本映像翻訳アカデミー(JVTA)による『字幕翻訳とは何か 1枚の字幕に込められた技能と理論』を参照し、英語から日本語への翻訳を行う場合の記号の使用ルールを比較しました。
|
さて、実務翻訳と動画翻訳の記号の使用ルールには、どのような違いがあるのでしょうか?
中黒
いずれも、人名を含む固有名詞の区切りのため使用との記載がありました。また、Netflixでは映像に合わせて、字幕が縦書きに表示される場合は小数点としても使用が可能です。動画翻訳では、映像に合わせて、縦書き/横書きとルールが異なる場合があります。
JTF |
TED (日本語字幕翻訳) |
Netflix (日本語字幕翻訳) |
JVTA (日本語字幕翻訳) |
|
|
|
|
ダッシュ
ダッシュまたはダーシとも呼ばれる、長音記号によく似た記号です。TEDでは、講演の翻訳であることが多いため、タイトルと講師名の区切りとして使用がルール化されています。JTF以外の動画翻訳を前提としたルールでは、次の字幕へつながる場合を示すための使用が共通しています。これは、時間と文字数に制限のある動画翻訳の主な特徴の一つです。
JTF (実務翻訳) |
TED (日本語字幕翻訳) |
Netflix (日本語字幕翻訳) |
JVTA (日本語字幕翻訳) |
原則として和文では使用しない |
|
文が途切れているが、次の字幕へと続いている場合 |
次の字幕に文がつながっていることを示す場合 |
三点リーダ
最後に紹介するのは、三点リーダです。NetflixとJVTAで、動画翻訳で中断を表す場合の使用が共通しています。参照したスタイルガイドは、基本となる汎用性の高い項目を主体に作成されているガイドのため、記載の見つからないものもありました。翻訳会社では、プロジェクトに合わせ、場合に応じて判断します。
JTF (実務翻訳) |
TED (日本語字幕翻訳) |
Netflix (日本語字幕翻訳) |
JVTA (日本語字幕翻訳) |
― |
― |
横書きの場合、ためらいや突然の中断 (文が完了している場合を除く) |
|
まとめ
本記事では、実務翻訳および動画翻訳で使用される記号のルールについて、3種類のスタイルガイドおよび日本映像翻訳アカデミーの文献を参照し、比較しました。文書などの翻訳と比べ、動画翻訳でよく見られる代表的な記号として「中黒」、「ダッシュ」、「三点リーダ」の3つを取り上げました。
動画翻訳は、映像や音響と組み合わせて完成されます。そのため、文書の翻訳と比べて特殊なルールや文字数や表示時間などの制限が存在します。また、このようなルールを「どのように映像や音声と合わせて適用していくか」という判断が、様々な制作過程で行われています。
川村インターナショナルのサービス
動画翻訳に関して、以下のようなご要望をお持ちではありませんか?
- 翻訳したい映像・動画コンテンツが大量にある
- 字幕・音声の書き起こしだけ、字幕・音声の翻訳だけ依頼したい
- 案件に応じて、品質・コスト・納期を最適化したい
川村インターナショナルでは、動画翻訳のみならず、音声からの文字起こしやデジタルコンテンツの翻訳、ローカライズサービスを提供しております。翻訳コスト削減や納期の短縮、様々な対応ファイル形式など、お客様のご要望に応じて最適なサービスを提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
関連記事