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翻訳は目的によって変わる?スコポス理論 川村インターナショナルの翻訳ブログ

翻訳は目的によって変わる?「スコポス理論」とは

ニューラルネットワークや機械翻訳の発展など、日々、翻訳に関する研究が進んでいます。翻訳学はあまり聞き馴染みがない方も多いかもしれませんが、言語学や社会学、コミュニケーション学など、さまざまな分野に関連する学問です。

本記事では、多く存在する翻訳理論の一つ、「スコポス理論」を紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.スコポス理論とは
  2. 2.翻訳の目的とは
  3. 3.翻訳の目的を意識すると
  4. 4.翻訳方針とは
  5. 5.まとめ
  6. 6.川村インターナショナルの翻訳サービス

スコポス理論とは

スコポス(Skopos)」とは、ギリシャ語で「目的」を意味します。

スコポス理論は、1970年代終わりごろから1980年代にかけて発展した基本的な翻訳理論の一つで、主にギリシャのフェアメーアによって提唱されました。

これは、翻訳によるコミュニケーションの「目的」に応じて、翻訳を行うという考え方です。


翻訳の目的とは

翻訳の目的、すなわち、スコポスについて説明します。具体的には、翻訳物が何のために使用されるのか受信者(読み手)はどんな人たちなのかいつまでに必要なのかといったことです。

翻訳会社では、受注時のヒアリングによって翻訳の目的を確認します。翻訳を手配するときには、それらの内容をスタイルガイドや作業説明に含めて依頼を行います。

一般に、IT文書リーガル文書といった文書は「情報型」で、説明的かつ正確な情報伝達が目的となります。

これに対し、文芸翻訳字幕翻訳、場合によってはマーケティング文書などは、「表現型」や「効力型」、「オーディオ媒体テクスト」というテキストタイプとなり、目的がより多岐にわたる傾向があります。これは、内容や媒体、想定される読み手などによって、どのような効果をもたらしたいのかが変わるためです。

例えば、同じマーケティング文書でも、既存顧客向けなのか、新規顧客向けなのかで目的は異なるかもしれません。さらに、読んだ結果、どのように感じ、理解して、行動してほしいのかなど、さまざまなことが目的として想定されます。


翻訳の目的を意識すると

翻訳の目的が具体的になれば、コミュニケーションの目的が果たされることにつながります。

私たちは、言葉を巧みに使い分けています。日常会話においても、幼い子どもに言い聞かせるとき、上司に報告をするとき、家族と会話するときでは、言葉選びや表現方法を変えています。それは、コミュニケーションの目的が異なるためです。翻訳物作成の工程にもさまざまな人との関わりがあり、そのためのコミュニケーションが重要です。例えば、「赤色」と聞いて、各々が想像する色は、必ずしも同じ色味とは限りません

同じ言語を使用して受信者(読み手)へ情報やメッセージを伝える場合、発信者が自らの言葉で直接内容を伝えることが可能です。

しかし、翻訳物作成の場合は、原文とは異なる言語にかえて複数人を介して最終的な受信者(読み手)まで伝えられます。例えば、下の表に示すサービス例では、2~3名体制で翻訳作業を行います。さらに、この工程の前後には、発信者である依頼者様や我々翻訳会社が準備や確認を行います。

そのため、翻訳に関わる人全員が同じ認識を共有することが、よりよい翻訳物の作成に役立つと考えます。

サービス例
第一段階
第二段階
第三段階
翻訳+チェック
人手翻訳
人手チェック
翻訳+チェック+レビュー
人手翻訳
人手チェック
人手レビュー


翻訳方針とは

原文が同じであっても、翻訳の目的が異なれば、翻訳方針も変わります。翻訳方針には、文体、単語やさまざまなレベルでの表現方法なども含まれます。

家電の取扱説明書なので「である調」で簡潔な文体にしてほしい。既存顧客に親近感を持ってもらえるようなニュースレターにしたいので、話し言葉に近い柔らかな表現にしてほしい。など、目的に応じて翻訳方針は大きく異なり、読み手に与える印象も大きく変わります



たとえば、弊社のサービスの一つであるポストエディットサービス*は、お客様のご希望にあわせて細かく仕様をご指定いただくことができます。それにより、人手翻訳よりも早くリーズナブルに、かつ必要な品質を満たしたサービスを提案いたします。

機械翻訳の出力結果を人手で修正するサービスです。

まとめ

本記事では、スコポス理論と翻訳の目的について紹介しました。

筆者自身も、本記事を執筆しながら、翻訳の目的の大切さだけではなく、伝えることや聞くことについて改めて振り返るきっかけとなりました。これからも、よりよいコミュニケーションを通して、みなさまと翻訳を作っていければと思います。

参考文献:鳥飼久美子編著『よくわかる翻訳通訳学』第3版、ミネルヴァ書房、2015年


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また、当社では「ポストエディット」サービスにも対応しております。100名以上の経験豊富なポストエディターの中から最適な人材を選定し、英語日本語のペアに限らずアジア言語ヨーロッパ言語に対応できるのも弊社の強みです。ターゲットとなる品質や作業内容は、お客様との間で合意をして決定し、ご要望に応じた作業プランをご提案いたします。以下のようなお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください

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