「ノート型パソコン」は「Note PC」じゃない!?翻訳で注意すべき和製英語の世界 (PC 周辺機器編)
紙とペン、紙の辞書で翻訳していた時代はもはや太古の昔で、翻訳業務にパソコンやインターネットは必要不可欠になっています (筆者はぎりぎり紙で校正した翻訳を納品したことがあります)。
このようにすでに翻訳といえば PC 作業となった現状ですが、この翻訳環境で使用しているデバイスが英語/日本語で異なるケースがあります。無用なトラブルを回避するために翻訳環境で使用されるデバイスの和製英語を把握しておきましょう。
PC/Mac
一般的に英語圏では「PC」と言えば「Windows OS を搭載した Computer」を指します。
反対に「Mac」は「MacOS を搭載した、Apple が製造/販売している Computer」を広義の意味で指します。自分の翻訳環境や、先方から指示があった翻訳環境であいまいな表現がある場合は明確にしてもらう必要があります。
※「Windows OS を搭載した Computer」をPCと呼べるのであれば数世代前の Intel CPUを搭載していた Mac は Windows をインストールすることができましたので PC と呼ぶことができると言えます。
ただし、最近は Intel CPU の採用を取りやめて Apple開発のCPUに変更されてきているのでまた明確に違いがある状態です。ややこしい・・・
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ノート型パソコン
これは有名な和製英語ですが、ノート型パソコンは英語圏では「Laptop PC」と呼ぶの
が一般的です。 PC 黎明期の、机の上や周辺に鎮座して本体、ディスプレイ、キーボードに分かれた「デスクトップ PC」と対比して、まさに「膝 (Lap)」の「上 (Top)」の上に置いて操作するようなイメージです。
「ノート型パソコン」や「ノートPC」という呼称は日本独自のものです。自分の使用している PC は「Note PC」だと説明しても通じない可能性がありますので注意が必要です。
※「ノート型パソコン」に近しい表現としては「Notebook PC」があり、この表現であれば「デスクトップ PC ではない、持ち運びができる PC」の意味として通じるはずです。 ただし、文字通り手書きのノートサイズの小型 PC をイメージする方が多いようです。 |
キーボード
「キーボード」は英語圏でもそのまま「Keyboard」で通用します。正確には「Computer Keyboard」(他の種類のキーボード、たとえば音楽の鍵盤キーボードと明確に区別する) や、「Qwerty Keyboard」(文字配列を左端から読んだ文字列) などとも呼ばれます。
デバイス自体はそのままで問題ないようですが、キーボードで問題になるのは種類がある、ということです。キーボードは実は各国の言語で文字や記号の位置が異なっていたり、その国独自のキーが存在していたりします。そしてそのキーボード間には互換性がない場合がほとんどです。日本語で一般に流通しているのはJIS 配列の日本語キーボードとなり、米国では US キーボードが存在します。
入力方法が異なる例としては、たとえば @ (アットマーク) の入力は、日本語では P キーの右側に専用キーが用意されていますが、英語キーボードでは[Shift]+[2]で入力となります。一部の海外クラウドソリューションなどでは画面の一部で強制的に英語キーボードでの入力となり、例えばパスワードにアットマークを使用しているとこれまでの入力方法では入力できていないことが多く、さらにパスワード入力欄がマスクされて隠されていると気付きにくいため注意が必要です。
マウス
日本語の「マウス」も、英語で「Mouse」として問題ないようです。正確には「PC Mouse」や「Computer Mouse」とすると正確性が増します。
ちなみに動物のマウス「Mouse」は複数形では「Mice」ですが、PC マウスの複数形をどう表現するかはネイティブスピーカーの間でも意見が分かれているらしく、どちらの表現も見られます。Google の検索結果は2022年4月現在では「Computer Mice」のほうがヒット件数が多いです。
また、動物のマウスの複数形も「Mouses」が許容されるケースも多くなってきている状況もあり、将来的にはMousesに収れんしていくかもしれません。
ディスプレイ
作業時に外付けディスプレイを追加してマルチディスプレイ環境を構築するのは、翻訳環境においてももはや普通のこととなっています。この「PC に接続する外付けディスプレイ」は「External Monitor」と呼ぶのが一般的なようです。画面を表す単語として「ディスプレイ」「モニター」「スクリーン」が一般的ですが、次のような違いがあるようです。
ディスプレイ: モニター: スクリーン: |
このあたりに関しては明確な基準はなく、これまでの慣例で判断されていることが多いように思います (例えば「スマホのスクリーン」は用いられますが「スマホのモニター」はほとんど聞きません)。
まとめ
いかがでしたでしょうか。コンピューター環境自体は世界の翻訳者間で似たようなものではないかと思いますが、それだけに日本独自の表現に注意する必要があると思います。新しいデバイスや環境をセットアップした際には是非英語での正しい表現も確認しておくとよいでしょう。
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