動画ローカリゼーション~字幕翻訳と吹き替えどっちがいい?~
動画コンテンツのローカリゼーションの手法には、大きく分けて、①字幕翻訳、②吹き替え、③ボイスオーバーがあります。
それぞれの特徴は下記をご覧ください。
- 字幕:翻訳した訳文を画面に文字として表示する手法
- 吹き替え:原文音声を完全に消して、吹き替えた日本語音声をのせる手法
- ボイスオーバー:元の音声をわずかに残しながら、日本語音声を上に重ねる手法
しかし、実際に映像をローカライズしようと思ったとき、どの方法がご自分のニーズに合っているか、すぐに判断できるでしょうか。本ブログでは、動画翻訳を発注したいけど、目的や希望にあった手法が分からないというお客様を対象に、お手持ちの動画に適した手法を選ぶポイントをお伝えします。なお、吹き替えとボイスオーバーは共通する性質が多いため、本ブログにおいては基本的には字幕と吹き替えを比較します。
そもそも各手法について分からないという場合は、字幕翻訳と吹き替え・ボイスオーバーの詳細について紹介している弊社の過去ブログ「【2021年最新版】動画コンテンツと字幕翻訳」と「マーケティングのための吹替翻訳」を、ぜひご覧ください。
目次[非表示]
- 1.翻訳の情報量と質
- 2.想定する視聴者
- 3.コストと納期
- 4.動画で伝えたい雰囲気やイメージ
- 5.まとめ
- 6.川村インターナショナルのサービス
翻訳の情報量と質
特徴 字幕:情報量が制限される場合がある 吹き替え:情報量が字幕と比較して多く、原文の意味を損なわない傾向がある |
字幕は、音声が発せられる限られた時間内にしか文字を表示できません。人が1秒に読める文字数は制限があり、かつ画面上のスペースにも限界があります。そのため、必然的に情報を削る必要が出てしまい、原文から翻訳する際に情報を省くことがよくあります。以下を見てみましょう。
原文 |
At the time of shipment, this machine doesn’t require access to storage, which frees up staff that could otherwise consume extra time and cost. |
原文に即した翻訳 |
出荷時 本機は倉庫へのアクセスが不要なため スタッフが時間とコストを浪費することを軽減します |
字幕用に調整した翻訳 |
出荷時 倉庫へのアクセスが不要になり 時間とコストを節約します |
字幕用に調整した翻訳では、赤字を省略し、青字をシンプルに言い換えています。
一方で、吹き替えでは、音声の方がより多くの情報を短い時間に伝えることができるため、原文の情報を削らないで済みます。情報量が多い講義やトレーニング動画など、動画の内容を詳細に伝えたい場合には、吹き替えが有用です。
さらに、吹き替えは、字幕に比べて画面がすっきりしていることから、画面に表示されるイメージに集中することができます。例えば、ソフトウェアの操作手順の説明や、観光案内動画で美しい景色などを見せたい場合、吹き替えの方が視聴者は圧倒的に画面に集中しやすいと言えます。
同様に、オリジナルの動画に文字が表示される場合も、吹き替えの方が適しています。動画に表示される文字は通常テロップに置き換えます。字幕の場合、画面上にテロップと字幕が同時に現れるため、より多くの文字を追うことになり視聴者の負担が重くなります。吹き替えであれば、テロップを挿入しても画面が文字で埋め尽くされないため、テロップが読みやすいという利点があります。
想定する視聴者
特徴 字幕:ある程度限定された視聴者向け 吹き替え:幅広い年代、多様なバックグラウンドの視聴者向け |
字幕は文字で表示されるため、漢字が読めない、または文字を読むスピードが遅い視聴者が想定される場合、適していない可能性があります。
一方で吹き替えは音声のため、リテラシーに関係なく内容を理解できます。在日10年の外国人である筆者の友人は、日本語の専門的な文書を苦も無く読めますが、映画を見るときは、字幕よりも吹き替えを選択することが多いとのことでした。吹き替えの方が、内容に集中でき、かつ疲れないそうです。
コストと納期
特徴 字幕:コストが安い、納期が短い 吹き替え:コストが高い、納期が長い |
吹き替えと比較して、字幕はコストが安く、納期を短くできます。吹き替えはナレーターやディレクターなど関わる人数が多くなるため、字幕と比較してコストが高く、納期も長くなってしまう傾向があります。
動画で伝えたい雰囲気やイメージ
特徴 字幕:オリジナル動画の雰囲気を残せる 吹き替え:話し手の感情や息遣いが感じられる |
字幕は、ネイティブの音声やBGMをそのまま残せるため、オリジナルの雰囲気を感じることができます。スピーカーの英語にアクセントがある場合、視聴者はその人物の出身地や育った環境についてイメージを持てます。また、英語ではない動画の場合、その会社のイメージをより強く残せるため、視聴者に強い印象を残すことができます。
一方で、吹き替えは、翻訳の段階で人物の息継ぎのタイミングや、口の動きに合わせた翻訳を行います。翻訳した音声をあてることにより、その人物の雰囲気や感情などを視聴者がリアルに感じることができます。動画に人物が出てくる際に、感情をこめた内容を話している場合、吹き替えの方がその情熱をリアルに伝えることができると言えるでしょう。
ボイスオーバーは、オリジナルの音声を残しながら、翻訳した音声をあてますので、字幕と吹き替えの良いとこ取りをすることができます。
まとめ
字幕と吹き替えのポイントをまとめます。
字幕の特徴 |
吹き替えの特徴 |
|
情報量・質 |
情報量がある程度制限される場合がある |
情報量が字幕と比較して多く、原文の意味やニュアンスを損なわない傾向がある |
想定する視聴者 |
ある程度限定される |
幅広い年代とバックグラウンド |
コストと納期 |
コストが安い 納期が短い |
コストが高い 納期が長い |
動画で伝えたい雰囲気やイメージ |
オリジナルの雰囲気を残せる |
話し手の感情や息遣いが感じられる |
最後に、上記で述べた特徴は、あくまで傾向であり一つの判断基準です。ローカライズしたい動画がお手元にある場合は、ぜひ弊社にお問い合わせください。お客様の要望に適した動画のローカリゼーションをご提案いたします。
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