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【特別オンライン会談】~with/afterコロナの翻訳業界~④ビジネスへの影響

ヒト・モノの移動が制限される中、人々の働き方も大きく変わり、ビジネスの手法にも様々な変化や工夫が見られるようになった。

未だ第一波の収束も見えず、第二波・三波の到来も予想される2020年の夏現在に、世界各国のビジネスパートナーと、これからの翻訳業界について語る。


目次

  1. 事業活動や働き方への影響
  2. 「New Normal」な社会
  3. 翻訳業界とリモートワーク
  4. ビジネスへの影響
  5. 機械翻訳のビジネスチャンス
  6. オンライン会議システムとリモート通訳
  7. セキュリティリスク
  8. 機械翻訳エンジンGlobalese
  9. 機械翻訳サービスの在り方とこれから


第二部:ビジネスへの影響

前田:
今回のコロナ・パンデミック、世界経済に与える損失は最大で約940兆円に上ると言われています。その被害総額は2008年に起きたリーマンショックに以上のもので、今回のパンデミックがいかに深刻なものかわかります。

リモートワークを活用することで、業務そのものはこれまで通り継続できていますが、ビジネスチャンスの増減という点ではいかがでしょうか?


Serge:
従来の翻訳ビジネス領域では、
例年に比べると減りました。

世界的な不況に備えて多くの企業が緊縮財政を余儀なくされており、弊社のお客様もその例外ではありません。翻訳するドキュメントの選定に見直しがはいったり、そもそも予算がつかずにキャンセルになることが昨年より増えたと思います。

展示会や見本市が中止になったことで、そこで使う予定だった資料やコンテンツの制作を取りやめるといったケースもありました。


森口:
日本でも昨年度に比べると少し減っています。

特に観光資料や交通インフラ系資料などのインバウンドコンテンツに関するお問い合わせは、昨年度に比べると大きく落ちています。


前田:
今でも厳しい入国制限が敷かれてますからね。

香港や東南アジアはちょうどこれから観光旅行のハイシーズンに入りますが、規制解除の見通しは立っていません。

7月にはHong Kong Book Fair、8月にはHong Kong Food Festivalといった大型の展示会が予定されていましたが、いずれも延期になりました。

また金融ビジネスが盛んな香港では、投資銀行や金融機関などのお客様からも「予算の関係で今年は翻訳するドキュメントをしぼる」または「英語版のみで公開とする」といった声も聞きます。

ビジネスチャンスという意味では、やはり厳しい状況であるのは間違いありません。


しかしその一方で、昨年よりも発注が増えたお客様や、お問い合わせが増えているサービスもあります。

例えば、「従業員向けの代表メッセージを日本語と英語と中国語(広東語)で作りたい。」といったものや、「多拠点にいる従業員とオンラインでミーティングをする際に、自動翻訳を活用して同時通訳はできないか。」といった問い合わせがありました。

前者のお客様は、例年、中秋節後に全従業員が集まって会社の方針を説明する場を設けていましたが、在宅勤務の従業員が増えていることから、今年は動画配信で代替したいというもので、従来にはなかったニーズです。

後者のお客様も、対面でのミーティングができないことから、従来の通訳からオンライン通訳へと新しいニーズが生まれたのだと思います。


今回のパンデミックにより、従来型のサービスへのビジネスチャンスは減少しているかもしれませんが、一方でオンライン・デジタルをベースとした新しいニーズが生まれたのだと思います。



森口:
サービスに対するニーズの変化だけでなく、サービスを必要とするお客様の「分野」にも一時的な変化があると思います。

当然のことですが、外国からの入国制限が続いている以上、外国人観光客の集客は見込めません。

入国制限が緩和された場合でも、渡航制限は各国によって違うので、パンデミック発生前の水準まで客足が回復するまでには時間がかかるでしょう。

その点を考慮するとインバウンド分野での翻訳・通訳ビジネスはしばらくは厳しい状況が続くと思います。

ワクチンの世界的な普及を条件とすれば、2022年まで今のような状況が続くと想定して計画する必要があるのでしょうね。


一方で、IT分野、特にデジタルトランスフォーメーション(DX)関連企業のお客様からの翻訳依頼がこれまで以上に増えています。

いわゆる「ローカライズ」ですが、その対象は、アプリケーションやソフトウェアのUI、Webサイト、オンラインコンテンツのほか、e-Learning 教材などです。

「対面でのコミュニケーション」や「人が集まって何かをする」という「物理的な意味での場や方法、手段」の代替として、オンラインでのコミュニケーションに注目が集まるのは当然の流れでしょう。

先ほども例にあがったような、動画コンテンツの制作やローカライズも、同じ理由から今後の成長が見込めるサービスだと思います。

製造業などの企業(メーカー)も、製品の購入者(ユーザー)に、従来のような対面でのトレーニングやセミナーを実施するのは難しくなってますからね。


⑤に続く


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