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英語の会議に臨む前に知っておきたいこと

英語の会議に臨む前に知っておきたいこと(前編)

英語の会議は緊張しますよね。英語で準備する分、いつにも増して資料作りにも力が入ると思います。 

そんな資料作りですが、ちょっとした工夫をするだけで英訳したときに違いが出ます!今回は、英語の会議に臨む前の準備として、英語のプレゼン資料を作る際に気をつけてみるといいポイントをご紹介します。

日本語の資料を英訳する場合にも、初めから英語で作る場合にも役立つと思います。この機会にぜひ、普段あまり考えない日本語と英語の違いについて考えてみましょう。そして、より効果的な資料に仕上げ、会議での発言力を高めましょう!

目次[非表示]

  1. 1.便利だけど訳しづらい日本語
    1. 1.1.英語にしづらい日本語① 「実現」
    2. 1.2.英語にしづらい日本語② 「実績」
    3. 1.3.英語にしづらい日本語③ 「対応」
    4. 1.4.英語にしづらい日本語④ 「担当」
    5. 1.5.英語にしづらい日本語⑤ 「対象」
    6. 1.6.英語にしづらい日本語⑥ 「など」
  2. 2.記号の使い方は万国共通ではない
    1. 2.1.気を付けるべき記号①「」【】
    2. 2.2.気を付けるべき記号② ○ × △
  3. 3.言葉は文化を背負う
  4. 4.まとめ - 伝えたいことをシンプルに伝える
  5. 5.川村インターナショナルの翻訳サービス

便利だけど訳しづらい日本語

筆者が日本語って便利だな、と思うのは熟語を見たときです。表やグラフなど、資料上のスペースが限られた場所に説明を入れる場合でも、日本語の熟語を駆使すれば、短い言葉で説明できます。とても楽ですよね。

ただ、いざ英訳する時によくよく考えてみると、読む人によって違う解釈ができる熟語が沢山あることに気が付きます。

今回の記事では翻訳会社ならではの視点で、「これはつまり…どういう意味なんだろう」と筆者自身が感じた熟語や、英語ネイティブ翻訳者から「訳しづらい」とよく挙げられる熟語、また、熟語以外でも英訳するときに気になる日本語の例をいくつか紹介したいと思います。


英語にしづらい日本語① 「実現」

2020年までに○○を実現」、なんて書くだけでたしかに資料の印象が締まりますが、英語で何と訳せばよいか想像したことがありますか?

直訳すると realize になりますが、使うシチュエーションとしては「自己実現」のようなときで、このような場合ではあまり自然とは言えません。どんなニュアンスをもたせたいかに応じて、「実現」の代わりに「達成」や「完成」など、原文を変えてみると自然な英訳を作り上げることができます。



英語にしづらい日本語② 「実績」

これも、日本語ではよく使われるものの、英語ではそこまで使わない言葉の一つです。

売上数値の説明などで「予測」「実績」とは英語でも言いますが、営業の売り文句で「過去の実績を見ればお分かりいただけます!」というような表現はあまり使いません。

言い換えると、英語では「過去の実績」をもっと具体的に説明することが多いです。これは、常に聞き手が、「実績」という一言を話し手の意図する「豊富な経験値」と読み替えてくれるわけではないからです。

英語のプレゼンでは、「実績」の一言で済ますのではなく、どのようなことを達成してきたか、具体的に記載してみることがおすすめです。


英語にしづらい日本語③ 「対応」

どんな場面でも使える便利な日本語ですね。だからこそ、翻訳者は困るのかもしれません。

「対応」も英語に訳しにくい言葉のひとつです。どのような行動によって「対応」するのか明確ではないためです。これも具体的な言葉に置き換えたほうが伝わりやすいでしょう。

対応を検討中」なら「取り扱いを検討中」「対策を検討中」に、「第4四半期中に対応」なら「修正」「実行」など、具体的な言葉に置き換えられるかもしれません。


英語にしづらい日本語④ 「担当」

もしかしたら一番日本を感じる熟語かもしれません。「担当から連絡します」など、具体名を言わなくても伝わる究極的に便利な言葉です。

お気付きかと思いますが、たとえばアメリカでは「担当」の概念が存在しません。英語では、たとえばチーム編成などの話をしている際に in charge of と言うかもしれませんが、主語としては使いません

では、英訳する際にはどのようにすればいいのでしょうか。ずばり、実際の役職や肩書です。たとえば sales representative や coordinator など、具体的なものに置き換えましょう。


英語にしづらい日本語⑤ 「対象」

一番訳しづらい、とネイティブ翻訳者からよく言われるのが「対象」です。

たしかに、英訳の際に直訳して target と言っても意味が分かりませんが、日本語では幅広く使われる言葉です。たとえば「見積り対象外」のように使う場合、「見積りには含まれません」などと言い換えると、英訳も分かりやすくなると思います。


英語にしづらい日本語⑥ 「など」

日本人が作る資料には「など」が多いですよね。(この記事の中でも何回使っていることでしょう!)

アメリカでも、契約書のようにリスクがあるものには including but not limited to という言い回しで「など」のニュアンスを出したりしますが、基本的に通常の資料ではストレートな表現を使います。箇条書きで「など」を使いすぎるとしつこいですし、かえって分かりづらくなる可能性もありますので、英語の資料では多用せずにシンプルにしましょう。

どうしても「など」を使いたい場合は、「などの○○」というふうに「など」の対象明確に示すと、英語でもスッキリ分かりやすくなります。例えば、「バナナ、ミカンなどはおやつに含まれません」ではなく「バナナ、ミカンなどのフルーツはおやつには含まれません」としてみるのはいかがでしょうか。



記号の使い方は万国共通ではない

記号も言葉と同じように、各国で使い方は変わってきます。置き換わる記号が存在しないものすらあります。では、例を挙げながら見ていきましょう。


気を付けるべき記号①「」【】

日本語では強調したいときに「」を使ったり、見出しのような形で【】を使ったりすることが多いですよね。

「」を英語で書くなら“ ” (引用符) になりますが、あまり多用するとややうるさい印象になってしまいます。また、文中で単語や句を強調する際に引用符を付けてしまうと、原文では意図していない意味を読み手に与えてしまうことも引用符には「反語や皮肉」の意味もあるので、たとえば Have a "safe" flight. と言うと、安全ではない印象を与えてしまいます。

もしどうしても強調したい箇所があれば、下線太字にしてみましょう。赤字を使う方もいますが、きつい印象を与える可能性もあるので避けたほうが無難だと思います。

【】にいたっては、置き換わる記号が英語に特にないので、むしろ最初から使わないほうが良いかもしれません。見た目が似ていることから [ ] にする場合もありますが、一般的に強調や見出しの用途で使わない記号のため、原文と同じニュアンスでは伝わらないと思ったほうが良いでしょう。


気を付けるべき記号② ○ × △

スライド資料でを使うと、情報がすっきりとまとまりますし、万国共通で見やすいですよね。ただ、日本の表でよく使われる ○=良い、×=ダメ、△=どちらでもない、という意味合いの記号は英語では全く通じません単なるマークにしか見えないので、○×△の意味をもたせたい場合は や Yes/No などを使いましょう!

余談ですが、アメリカのレストランでお会計をお願いする際に「締めてください」の意味として手で×を作っても全く通じませんので気を付けましょう。



言葉は文化を背負う

ここまで読んでいただくと改めて感じられたかもしれませんが、プレゼン資料の和文英訳では単に言葉をそのまま訳しても、意味が伝わりません。

言葉はまさに文化を反映します。他国の文化を完全に把握するのは難しいですが、せっかくの資料を効果的に使うためにも、まずは日本の当たり前は世界の当たり前ではないことを認識しましょう。そうすることによって、使う表現自体も変わってくると思います。

たとえば、何かの基準策定について書くとします。日本語で「国と同等の基準で地方自治体も策定すべき」と書いてある場合、どういう印象を持ちますか?おそらく日本人であれば「国の基準>地方の基準」である思いますよね。ただ、これをそのまま英語にして、アメリカ人が読むとどうなるのでしょうか。文字どおり「国と地方の基準を同等にする」としか読み取らず、どちらが上というイメージは伝わらないと思います。

その背景として、国主導の日本に対し、アメリカではむしろのほうが強い場合があります。つまり、この日本語の文は「地方自治体よりも国のほうが厳しい基準を持っているはずだ」という考えのもとに作られているわけですが、この前提を持たないアメリカでは、そのまま英語に訳しただけでは通じません。本来の意味を伝えたいのであれば、「国と同等の厳しい基準で地方自治体も策定すべき」と補足する必要があります。



まとめ - 伝えたいことをシンプルに伝える

さて、そろそろ結論に入ります。いろいろと書いてきましたが、一番大事なことはこの見出しに書いてあるとおり「伝えたいことをシンプルに伝える」ということです。

当たり前なことですが、改めて意識してみましょう。口癖と同じように、書き言葉にも癖があります。こう書けば体裁が整う、この表現なら重みがある、そんなふうに考えて資料を作る時もありますよね。

日本語の会議ならそのイメージどおりに伝わるかもしれませんが、英語に翻訳した場合、必ずしも同じニュアンスになるわけではないので少し注意が必要です。日本語の言い回しはさておき、「つまりここで伝えたいことは何だろう…」と一呼吸を置いて考えてみてください。日本語の表現を少しシンプルにするだけで、英訳した後も伝えたいメッセージがしっかりと伝わるはずです。

あとは、あまり情報を詰め込みすぎないことも大切です。アメリカ人のプレゼン資料を見たら、おそらく余白が多くてびっくりすると思います。普段そのような資料に慣れている方々の目をチカチカさせない程度の情報量にしてみるとよいでしょう。


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