翻訳の効率を大幅UP!ポストエディットって?
Google翻訳やDeepL等の機械翻訳の発展に伴い、機械翻訳を最大限に活かして翻訳を行う「ポストエディット(PE)」による翻訳サービスを提供する翻訳会社が増えています。
人がいちから翻訳した訳文よりは品質が劣ってしまうポストエディットですが、人手の翻訳と比較すると大幅な効率化とコスト削減を実現できるため、品質よりコストが優先される案件では、非常に有用なサービスとなっています。実際に、60%以上のコスト低減につながったケースもあります。
今回の記事では、翻訳の大幅な効率UPを実現する「ポストエディット」そして実際に作業をする「ポストエディター」についてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.ポストエディット
- 2.ポストエディット作業
- 3.ポストエディターはどんな人?
- 4.ポストエディターに求められるスキル
- 5.KIのサービス
ポストエディット
ポストエディット (Post Editing) とは、スピードとコスト重視の機械翻訳だけでは品質が不十分なケースで、人手による後編集を適用して、お客様が求める翻訳に仕上げるサービスです。機械翻訳の下訳を最大限に活用することで翻訳にかかるコストを削減し、納期を短縮することを目的としています。機械翻訳の精度が向上してきた現状では、人手の翻訳に代わる選択肢として注目されています。
前提として機械翻訳の出力結果が必要です。翻訳者が過去の翻訳文を参考にして新しく翻訳することとは異なり、ポストエディットの場合は機械翻訳エンジンが1から翻訳文を出力します。
ポストエディットのターゲット品質は、お客様との間で合意して決定します。具体的に弊社では、実際の案件を無償でポストエディットしてサンプルを提供します。サンプルは、数時間で処理できる分量に限定しています。品質にご納得いただけた場合のみ正式にご依頼いただくことが可能です。
(人手翻訳とポストエディットを比較した記事については、こちらをご覧ください)
ポストエディット作業
翻訳費用を低減、納期短縮が目的といった「ポストエディット」ですが、この作業は「ポストエディター」と呼ばれる専門の作業者によって行われます。
それでは、そのポストエディターは実際にどのように作業をしているのでしょうか?以下にまとめてみました。
①機械翻訳の出力結果を判断する
機械翻訳の出力結果を瞬時に判断し、どの程度活用できるかを決定します。ポストエディットの基本的な考え方として、「機械翻訳を活用する」という観点から、これをどこまで活用し、どこを編集するかを決定します。
②出力結果を編集する
出力結果を判断したら、編集していきます。あらかじめ入力されている出力結果を活用しながら、訳文としてお客様のご希望のターゲット品質に仕上げます。実際の作業としては、機械翻訳出力結果からの編集距離/ワークロードおよび要求される品質の違いにより、訳文を再構築していくような作業から、シェイプ、ブラッシュアップしていくような作業までさまざまです。
③その他の作業
その他、人手翻訳同様、案件によってスタイルガイド、用語集など翻訳資料への準拠が求められます。また翻訳メモリなどの翻訳資産が活用される場合、翻訳メモリの適用 + 新規箇所に対する機械翻訳の適用となり、翻訳メモリのファジーマッチ箇所の編集も必要になる場合があります。また案件により別途、その他の品質管理工程をとる場合があります。
ポストエディターはどんな人?
このポストエディットを担当する専門の作業者「ポストエディター」の需要は、昨今の機械翻訳/ポストエディット案件の増加に伴い、増加する傾向にあります。
しかし、業界全体で見てもまだまだこのポストエディターが不足しているのが現状です。
現在のところ翻訳者、チェッカーがポストエディターに転身するケースが多いです。一方で、専門職としての若手ポストエディターの育成など、業界としても需要に対する対策も始まっています。
川村インターナショナルでは、ポストエディットの国際規格(ISO 18587)の策定に積極的に携わっています。ポストエディットのプロセス、要件、品質基準など、人手翻訳との違いを明確にしながら、品質基準の合意、プロセス・手法の設定ができるように支援します。
ポストエディターに求められるスキル
ニューラル機械翻訳登場により、機械翻訳の品質はこれまでになく高まってきています。しかしながら、機械翻訳の品質はエンジンや原文の分野、性質によって大きく左右され、出力される訳文の品質は一定ではありません。
また、ポストエディットを発注されるお客様の品質要件も様々です。「日本語として最低限読め、中身が把握できさえすればよい。あまりエディットに工数をかけないでほしい」と指定するお客様もいれば、「用語だけは少なくとも統一してほしいので、しっかりとエディットしてほしい」とおっしゃるお客様もいるかもしれません。
このように、バラバラな品質の訳文を、異なる品質要件に合わせる必要のあるポストエディターには、人手翻訳で言う翻訳者とレビュア/チェッカーと共通する翻訳スキルが要求される一方、特に固有のスキルとして「適応能力」が要求されます。
機械翻訳に対する編集が不足しても、出力結果にかかわらず過度に高品質な訳文にしても、よいポストエディットとは言えません。「過不足なく」作業をすることにより、パフォーマンスを確保しながら品質とのバランスをとることが肝要で、この加減を判断し、適応していくこと、また、現状品質基準/要求が案件ごとに異なり、また流動的であることから、作業指示や品質要求を作業方法に柔軟にフィードバックさせていける能力が、従来の翻訳、チェック作業に比べてより必要となってきます。
KIのサービス
すべてのコンテンツ、文書に対してポストエディットが適しているわけではありませんが、ローカリゼーションを中心にマーケティング翻訳、マスメディア翻訳など、ポストエディットの需要は確実に高まってきています。また機械翻訳エンジンの進化、変化に伴い、ポストエディターに求められる能力も徐々に変わってきています。今後も機械翻訳とポストエディットの動向に目が離せません。
川村インターナショナルでは、今までに経験したポストエディット案件量と作業者の数が違います。英語と日本語のペアに限定せず、英語から欧州言語など、ネイティブの言語を話すポストエディターを確保できるのも弊社の強みです。
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