翻訳会社との上手な付き合い方 Vol 3 ~品質と納期~
翻訳会社に見積もりを依頼する際、料金はもちろんですが品質や納期も気になる点かと思います。料金が安くても、品質が低いために修正が必要になってしまうのは望ましくありません。
また、品質が高くても希望の納期に間に合わないのであれば意味がありません。
この記事では、翻訳会社ではどのように納期を算出しているのか、どうすれば納期を短縮できるのか、品質要件の高い翻訳にどのように対応するかについて説明します。
まず、一般的な翻訳の工程と、この工程に基づく納期の算出方法について説明します。
翻訳の工程
通常、翻訳は下記の工程で行われます。
・翻訳前準備
仕様やお客様からご提供いただいた資料を確認し、翻訳作業用のファイルを作成します。また、作業者向けの指示書を準備します。
・翻訳
翻訳者が作業を行います。1日の平均的な処理量は下記のとおりです。
英語 → 日本語:2,000ワード
日本語 → 英語:3,000文字
※処理量は分野や文書の種類によって異なります。
・チェック
翻訳完了後に、バイリンガルチェック担当者が行います。1日の平均的な処理量は下記のとおりです。
英語 → 日本語:4,000ワード
日本語 → 英語:6,500文字
※処理量は分野や文書の種類によって異なります。
・最終検品
プロジェクトマネージャーがお客様への納品前に最終の確認を行います。
納期の算出方法
一般的に納期は翻訳対象のドキュメントのワード数/文字数から算出します。
たとえば、4,000ワードの英文を日本語に翻訳する場合であれば、翻訳に2日、チェックに1日かかります。それに翻訳前準備と最終検品の作業を考慮して納期を算出します。
ただし、レイアウト作業など上記以外の作業が必要な場合、納品までにさらに数日要することになります。
納期を優先するなら……
上記の方法で標準的な納期がわかりますが、これでは希望の納期に間に合わないということもあるかと思います。その場合、以下の方法で納期を短縮することができます。しかし、納期を短縮する方法はリスクを伴うことがあるため注意が必要です。
・機械翻訳
ニューラル翻訳の登場により機械翻訳の精度が飛躍的に向上し、機械翻訳を選択肢のひとつとして考えることができるようになりました。しかし、機械翻訳の出力結果はそのまま使用することができる品質に達していないというのが現状です。不正確な個所があることを前提に参照する、文書の要点を把握するなど、限定的な使用にならざるを得ません。
・機械翻訳+ポストエディット
上記のとおり、機械翻訳の出力結果をそのまま使用することにはリスクがあります。そこで、訳文として成立する文章に仕上げるために出力結果の修正を行います。この作業がポストエディットです。ポストエディットは、通常の人手翻訳より生産性が高いため、短納期での対応が可能になります。ただし、品質は機械翻訳の出力に依存する面があるため、品質が用途に見合うかどうかを検討する必要があります。
・チェックを入れず翻訳のみで対応
通常の翻訳であれば、翻訳作業の後にバイリンガルチェックを行いますが、バイリンガルチェックの工程を削減することで納期を短縮することもできます。社内で使用する文書などで、読みやすさは重要ではなく内容がある程度わかればよいといった場合に有用です。
・複数の作業者で対応
複数の翻訳者/チェッカーで作業を行うことで、作業期間を短縮することができます。ただし、作業に携わる人数が増えることで、表現や用語の不統一といった問題が発生するリスクがあります。
品質を優先するなら……
ドキュメントの性質や用途によっては、正確性がより求められる、あるいは日本語の読みやすさが重要であるといったケースがあるかと思います。そのような場合、品質向上のためにバイリンガルチェックの後に目的に応じて下記のような工程を入れることができます。ただし、工程が増える分、作業期間が長くなり料金も上がることに留意する必要があります。
・モノリンガルチェック
バイリンガルチェックの後に、読みやすさの観点からリライトや推敲の工程を追加することができます。
・プルーフリーディング
専門性の高い文書などの場合、バイリンガルチェックの後に、主に訳文についてその分野の専門家によるチェックを入れることができます。
まとめ
短納期で対応する方法には品質面においてリスクが潜んでいます。品質の高い翻訳に仕上げるには、追加の工程がある分コストや時間が必要です。納期を短縮する方法と翻訳品質を高める方法、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で翻訳会社に相談してみましょう。
大規模、短納期、高品質、低価格など、お客様のさまざまなニーズへの柔軟な対応と提案力が弊社の強みです。お気軽にお問い合わせください。
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