翻訳会社との上手な付き合い方 Vol 1 ~翻訳会社選びの3つのポイント~
翻訳を発注したいけれど、どのように翻訳会社を選べばいいのか、何を準備したらよいか、費用や納期はどれくらいなのかわからない……そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
翻訳会社選びのポイントや翻訳発注時のヒントなど、翻訳会社との上手な付き合い方について考えます。
翻訳会社選びの3つのポイント
翻訳が必要になったとき、どのように翻訳会社を選んだらよいでしょうか。
特に、初めて翻訳を依頼する場合、何を基準に選べばよいか悩んでしまうのではないかと思います。この記事では、お客様が満足できる翻訳サービスを提供できる「よい翻訳会社」について考えます。
① お客様が求める要件に応じて最適な提案を行う
1つめのポイントは、お客様が求める要件に応じて最適な提案を行うことができることです。
一口に翻訳といっても、何を優先するかによって翻訳会社での作業工程が変わり、それに応じて価格や納期、品質も変わります。
一般的には、かけた時間やコストに比例して、翻訳の品質は向上します。スキルの高い翻訳者が対応すれば品質の高い翻訳を提供することが可能ですが、価格も高くなります。また、バイリンガルチェックの後にモノリンガルチェック/プルーフリーディングを行えば、より正確で自然な日本語に仕上げることができますが、その分作業期間は長くなります。
一方、価格を抑える、あるいは納期を短縮しようとすると、品質面においてリスクがあります。クラウドソーシングの翻訳サービスであれば、低コストで翻訳を行うことができますが、翻訳者がプロではなく品質管理が十分ではない可能性があります。また、最近は機械翻訳の精度が上がり、用途次第では選択肢の一つとして検討できるようになってきていますが、現状では品質に問題があると言わざるを得ない状況です。
そのため、翻訳会社側では、お客様が想定されている価格や納期、仕上がりのイメージなどについてヒアリングを行い、それを考慮したうえで価格、納期、品質の3つのバランスが取れた最適な提案を行うことが重要です。
特に、品質は数値として定量的に評価することが難しい面もあり、評価者の価値観が大きく影響します。お客様との間で品質について認識に齟齬が生じないようにするには、翻訳対象のドキュメントに関する情報(対象読者、用途、背景、参考資料の有無など)が必要になります。このような情報をお客様と共有できるかどうかも重要です。
② 提案に基づいた翻訳サービスを提供できる
2つめのポイントは、提案に基づいた翻訳サービスを提供できる体制を構築していることです。当然ですが、お客様が求める要件を明確にして最適な提案を行ったとしても、お客様にご満足いただける翻訳サービスを提供できなければ意味がありません。そのためには、プロジェクトマネジメントおよび品質管理の体制/プロセスが重要になってきます。翻訳サービスの国際規格ISO17100では以下のようなワークフローが定義されており、認証を取得した翻訳会社はこのプロセスに準拠して翻訳を行っています(詳細については「翻訳サービスとISO:国際規格 ISO17100」をご覧ください)。
1. 翻訳:
翻訳対象のドキュメントの内容や用途を確認し、翻訳者の経歴や専門分野を考慮した上で、作業を依頼する翻訳者を決定します。ここでミスマッチが生じると、翻訳品質に大きく影響するため、翻訳者の選定は非常に重要です。
2. チェック:
バイリンガルチェックを行います。バイリンガルチェックとは、原文と訳文を付け合せて校閲する対訳チェックのことで、誤訳や訳抜けがないか、用語集や表記規則に準拠した翻訳になっているか、などを確認します。このバイリンガルチェックの後に、必要に応じてプルーフリーディングやモノリンガルチェックを行うこともあります。
3. 最終検品:
プロジェクトマネージャーが検品を行い、仕様を満たしていることを確認した上で納品します。
③ 情報セキュリティを確保している
3つめのポイントは情報セキュリティを確保していることです。翻訳対象のドキュメントをはじめとするお客様から提供された情報はすべて重要情報であり、漏えいは許されません。品質管理体制と同様に、お客様の情報を安全に取り扱う体制の構築も非常に重要です。
まとめ
短納期/低コストで対応可能というだけではよい翻訳会社とは言えません。
一方で、高品質であっても予算に見合わない、あるいは納期までに対応できないというのも、やはりよい翻訳会社とは言えません。
お客様の要望に応じて最適なサービスを提案でき、そのための体制が構築されている、そしてその体制を柔軟に活用できる会社こそが、良い翻訳会社だと我々は考えます。ご質問やご不明点など、お気軽に弊社までお問い合わせください。
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