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TIPS! 翻訳時の注意点 中国語~トリセツ翻訳・制作編~

20世紀後半~21世紀初頭、「世界の工場」として著しい経済発展を遂げた中国。

世界中の企業が、安価な労働力と豊かな資源を求め、中国に大規模な投資を行いました。日本もその例外ではなく、1972年の日中国交正常化~1978年の改革開放政策を皮きりに、多くの日系企業が中国に進出し、今では35,000社(拠点)以上にのぼる言われています。

労働力の高騰や不動産バブルなど、様々な問題が囁かれる中国ですが、2010年にはGDPで日本を上回り、米国に次ぐ世界第二位の経済大国へと成長しました。1980年以降、長らく「世界の工場」だった中国は、今や世界中の「モノ(=商品)」と「コト(=サービス)が溢れる、「世界の市場」へと発展を遂げたのです。

今やこの「世界の市場」を狙って、多くの日系企業が中国向け製品・サービスの開発、販売に力を取り組んでいますが、現地で使用する「トリセツ(=取扱説明書)」を翻訳・制作する際には、ちょっと注意が必要です。

実は厳しい中国のトリセツ規格

一般的に、中国製(Made in China)と聞くと、

  • コピー製品(ニセモノ)が多い
  • 安いけどすぐに壊れる
  • ちゃんと動かない(動作しない)

など、どちらかというとネガティブな印象を受ける方も多いかと思います。

付属のトリセツにいたっては、明らかに翻訳が間違っていたり、情報が欠落している(と思われる)ものを、一度は目にしたことがあるかと思います。

このような状況から、中国向けに製品やサービスを展開する際、トリセツも「日本語版が正しく翻訳されてればいい。」あるいは、「欧州向けなど他拠点で使用している基準に基づけばいい」

と、認識している方が多くいらっしゃいますが、それは間違いです。

実は中国のトリセツには、厳しい規格が設けられているのです。

中国の標準規格

中国には法律で定められた4つの標準規格が存在します。

1. 国家標準規格

→中国全土で統一されるべき項目を定めた規格

2. 業界標準規格

→業界・分野ごとに定められた各業界で統一されるべき項目を定めた規格

3. 地方標準規格

→国家標準規格や業界標準規格が無い場合に、省ごとで統一されるべき項目を定めた規格

4. 企業標準規格

→国家標準規格や業界標準規格が無い場合に、各企業(主に中国国営企業)が独自に定めた規格

※2~4の規格については、2015年の標準化改革により運用が見直され、「推奨規格」に再制定されましたが、1の国家標準規格は「強制規格」であるため、当該項目を有する場合は、必ずこの規格に準拠しなければなりません。


国家標準規格=GB規格(Guo jia Biao zhun)

国家標準規格は、中国唯一の「強制規格」として各規格の中で最も優先される標準規格です。

中国語で「Guo jia Biao zhun」と読むことから、GB規格と呼ばれ、「GB ○○○○-○○○○」のように8桁の番号が割り当てられます。

実はトリセツの規格もこの国家標準規格によって規定されているため、中国向けに製品を開発する際には、トリセツもGB規格に沿うように制作しなければなりません。

主な規定項目

・フォントに関する規定

・スタイル(見出しや文字の大きさ)

・廃棄方法の明記に関する規定

・安全文に関する規定

・各種マークに関する規定

など

GB規格に沿ってないとどうなる?

このように、中国で製品やサービスを販売するには、中国の国家標準規格(GB規格)に沿ったトリセツを用意する必要がありますが、

もし制作したトリセツが規格に沿っていない場合、どうなるのでしょうか?

規格違反の内容にもよりますが、「罰金・罰則」はもちろん、過去には「製品の回収」や「輸出(販売)の禁止」が課せられた事例もあります。

中国向けのトリセツを制作する際には、十分注意しましょう。



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前田耕二

前田耕二

KI Hong Kong, Limited 取締役。 川村インターナショナル香港現地法人の代表として2012年より香港にて勤務。 中国語および東南アジア言語のローカリゼーション業務に従事。

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