翻訳とローカリゼーションは何が違う?ローカリゼーション成功のコツを解説
翻訳=ローカリゼーション?
企業活動がグローバルになるにしたがって、翻訳の対象となるドキュメントが増えています。少し調べてみると、ローカリゼーションという言葉が翻訳と同じように扱われていることに気が付く人も多いでしょう。
同じ文脈で使われることが多いため、その違いを明確にできている人は少数派です。しかし、本来この2つは似て非なるものなのです。どのような違いがあるのでしょうか。
翻訳はローカリゼーションの一部にすぎない
最初に翻訳とローカリゼーションのそれぞれの定義をみてみましょう。翻訳とは、端的にいうとある言語のテキストを別の言語で表現することです。基本的には一字一句忠実に訳すことが多いですが、文化的な意味合いや慣用句を考慮して翻訳される場合もあります。
たとえば、映画ミセスダウトの中で、Nature is callingという表現が出てきます。これをそのまま訳すと「自然が呼んでいる」ですが、これでは何のことかまったく理解できないでしょう。このような慣用句の場合は、「トイレに行きたい」など別の表現が必要になることもあります。
対してローカリゼーションは、商業活動を行うための翻訳ということができます。通貨単位を現地通貨にしたり、住所や日付の表記を変更したり、キャッチコピーやレイアウトをその地域特有のバージョンに準備したりするプロセスです。
イメージでいえば、数学の集合の図を想像してみてください。ローカリゼーションの中に翻訳が入っていると考えれば近いのではないでしょうか。
また、翻訳が文字の変換であるとした場合、ローカリゼーションは商品やサービスを現地で使えるようにして展開することだともいえます。
わかりやすい例は、ローカリゼーションとともに語られることが非常に多いソフトウェアの多言語化です。ソフトウェア上の文字が問題なく訳されていることだけではなく、そのソフトウェアが文字化けや度量衡の問題がない状態で、もっといえば現地ユーザーが使いやすいレイアウトでスムーズに現地で使えるようにすることと説明すると理解しやすいのかもしれません。
現地の人の心をつかむ言葉とは?
自社サイトの翻訳を検討するものの、その地域のユーザーに訴求できる内容にすることは簡単ではありません。ローカリゼーションの目的は商業活動に利用することなので、現地の人の心をつかむ言葉選びや情報デザインが重要になります。
時には元の日本語を大幅に変更する必要も出てきますが、元々の内容のエッセンスをくみ取ることに主眼が置かれているといえます。忠実な翻訳よりもかえって細かなニュアンスを伝える必要がある場合も出てくるでしょう。
目を引く文章にするために、新聞や雑誌の見出しのような文法をあえて使うこともあります。多言語サイトを制作するのであれば、海外SEO対策も必要です。そのためには、ターゲット地域の文化や風習を事前に調査し、検索需要のあるキーワードを知っておく必要があるでしょう。
日本の常識は海外では通じないことも珍しいことではありません。翻訳された語句が検索需要のあるキーワードとマッチしていれば問題はないのですが、キーワードを優先させてしまうと不自然な文章になってしまい、直帰率・離脱率が高くなってしまうのです。
成功例と失敗例から学ぶローカリゼーション
ローカライズの成功事例として有名なのは、2014年のサッカーFIFAワールドカップでのコカ・コーラ社のネームボトルキャンペーンでしょう。
このキャンペーンは、元々はオーストラリアで始まったもので、ネームボトルには英語圏の最も一般的なファーストネームを印刷して大きな反響を得ました。一方、中国ではニックネームを印刷したところ大成功を収めることができたといいます。これは英語圏の発想しかなければ成し遂げるのが難しかったケースです。
失敗例として有名なのは、IKEA(イケア)のケースです。イケアは世界的な家具ブランドとして有名な知らない人はいないほどに成長している企業ですが、それまでには多くの失敗を経験しています。
2013年の商品カタログ・サウジアラビア版では、厳格なイスラム教国家であることに配慮して女性が写っている写真を削除したところ、世界中のフェミニスト団体から抗議を受けました。
実はサウジアラビアでは女性だけでなく、人が被写体になっている写真はタブー視されているのでした。ところが、女性だけを削除したことで違和感が増してしまったのだそうです。
他にも、タイ語に翻訳されたイケアの製品名が性的表現を含む言葉になっていたため、新しい翻訳に差し替えられたものの、物議を醸したケースもありました。
ローカリゼーションは
見込み客との信頼関係がカギ
ローカリゼーションの成功例と失敗例から見えることは、現地のマーケットをよく調査することがいかに大切かということです。特に、宗教はユーザーの行動に大きな影響を与えることもあるので入念なリサーチが必要でしょう。
このように、翻訳をして意味が分かるだけでは商品やサービスの魅力が十分に伝わらないことがあります。ターゲットの地域に合わせた細かい言葉のニュアンス選びやデザインを構築して、心に響くコンテンツしなければなりません。
自社の特色に合ったサービスをうまく活用しましょう。そうした積み重ねが見込み客との信頼関係をつくり、海外展開を成功に導くといえるのではないでしょうか。
KIのサービス
川村インターナショナルでは、英語をはじめ40言語以上の翻訳に対応し、複数言語の同時翻訳展開にも対応しております。また、機械翻訳やポストエディットなど各種ツールも採用し、お客様のご要望にあわせた多彩なプランをご提案いたします。
ローカリゼーションでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
関連記事