ヘブライ語~よみがえった古代語~
ヘブライ語と聞いて、どこで話されているかすぐに思いつく方はいらっしゃるでしょうか。聖書に触れたことがある方はピンときたかもしれません。ヘブライ語は現在、中東にあるイスラエルで公用語として話されていますが、実は一度滅んだ言語なのです。本ブログではヘブライ語の概要と歴史についてご案内します。
目次[非表示]
- 1.ヘブライ語とは?
- 2.ヘブライ語の歴史
- 3.イスラエルの状況とヘブライ語
- 4.まとめ
- 5.参考文献
- 6.川村インターナショナルのサービス
ヘブライ語とは?
言語学において、ヘブライ語はアラビア語やエチオピア語などと共にアフロ・アジア語族のセム語族(主に中東から北アフリカまでの言語に多い)に属しています。文字は22文字のヘブライ文字で表記され、アラビア語と同様に右から左に右横書きで書かれます。
(上からヘブライ語の文字、アルファベットの読み、括弧内は発音)
Category: THE HEBREW LETTERS (maybellbareket.com)
ヘブライ文字の特徴としては、1つの子音に対し、通常1つの文字をもち、原則として母音を明示しないといった点があります。例えば、上段右から4番目の「ד」(発音はD)と3番目の「ג」(発音はG)を並べるとדג(ダグ、読み方は右から左)となり、「魚」の意味となります。上記、22文字のアルファベットはすべて子音のため、現在は発音を表すための母音記号ニクダーと共に表記される場合もあるようです。
ヘブライ語に馴染みがあるという方はあまり多くないかもしれませんが、ヘブライ語聖書に登場する「アーメン」、「ハレルヤ」、「ハルマゲドン(アルマゲドン)」などはヘブライ語起源の言葉として聞かれたことがある方もいるでしょう。
また、聖書起源ではない言葉として「シャローム」いう言葉を耳にした・目にしたことがある方はいるかもしれません。シャローム( שָׁלוֹם) はヘブライ語で「平和」を意味し、「こんにちは」と同義であいさつとして使われています。日本でも社名や団体名などに使われていることがあるため、街中で見つけたらぜひ豆知識として誰かに披露してみてください。
ヘブライ語の歴史
ヘブライ語にはおよそ3000年以上の歴史があり、旧約聖書の時代に現在のイスラエル・レバノンの地域に住んでいたユダヤ人によって使われていました。
紀元70年ごろにローマ帝国によってユダヤの国が滅ぼされ、ユダヤ人は世界各地に散らばってしまったため、紀元200年ごろには口語としては一度滅亡したとされました。
しかし、多くのユダヤ人は移住した先でも自分たちのコミュニティを保ち、ユダヤ教を守り続けました。日常の会話は移住先の国の言語を使いながらも、毎週ユダヤ教の会堂でヘブライ語の祈祷文を読むなどしていたため、宗教言語として約2000年間途切れることなく使用されていました。
そして、19世紀後半にユダヤ人の間でシオニズム(ユダヤの国があった場所に故郷を再建する運動)が勃興、当時のパレスチナに入植地を建設する構想が動き出した時に現地での使用言語を決める必要があり、ここでヘブライ語の日常語としての復活が決定しました。1880年代にユダヤ移民の第一波がパレスチナに到着し、移民の間でヘブライ語が少しずつ使われ始めました。
しかし、2000年以上祈祷などでしか使用されていなかったヘブライ語は圧倒的に語彙が足りません。そこで当時欧州からパレスチナに帰還したエリエゼル・ベン・イェフダーというユダヤ人学者を中心として、ヘブライ語委員会を設置し、ヘブライ語復活に向けて研究を重ねた結果、1920年代には現地ユダヤ人の間で広く使われるようになったという記録が残っています。
イスラエルの状況とヘブライ語
現在、イスラエルでは20歳以上の国民590万人のうち、大半がヘブライ語を話し、55%は母語としています。一方で世界にはヘブライ語話者は900万人いると言われています。これは世界中にユダヤ教のコミュニティが存在しているということで、現に2019年の米構成調査局の調査によると家庭でヘブライ語を使う5歳以上の話者はアメリカ国内で約21万人にのぼっています。
ヘブライ語は、イスラエルの公用語、およびユダヤ人の間で用いられていますが、ユダヤ人の中でもヘブライ語が話せない、もしくは結婚のために改宗した方のために「ウルパン」というヘブライ語の語学学校がイスラエル中に設置されています。移民したい方は無料で授業を受けることができる上、長期滞在ビザがまだ発行されていなくても、ウルパンに通っていることを証明すれば、査証免除期間を超えて、イスラエルに滞在することができます。またユダヤ人でない移民の方や、留学生でも受講することが可能となっています。
こうした取り決めの後押しもあり、ヘブライ語は一度口語として滅んだにも関わらず、よみがえり、話者を増やし続けています。
まとめ
イスラエルは人口900万人強で大きな国とは言えませんが、1人当たりの名目GDPは日本より高く、OECD加盟で、中東のシリコンバレーと呼ばれる先進国です。
こうした背景を受け、弊社でもヘブライ語翻訳のご依頼は少なからずございます。ヘブライ語翻訳をご検討の方はぜひ、川村インターナショナルへお問い合わせください。
参考文献
2000年間話し手がいなかったヘブライ語、どうやって復活した? | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
川村インターナショナルのサービス
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