「お茶を濁す」をどう翻訳する?――飲み物に関する英日表現
皆さんはコーヒーがお好きでしょうか?コーヒーではなく紅茶派でしょうか?本記事では、飲み物にまつわる日英表現を少し紹介します。休憩(“coffee break”)のお供に読んでいただけると嬉しいです。
目次[非表示]
- 1.コーヒーに関する表現
- 2.お茶に関する表現
- 3.お酒に関する表現
- 4.まとめ
- 5.川村インターナショナルのサービス
コーヒーに関する表現
英単語 “coffee” には名詞「コーヒー」のほかに形容詞「コーヒー(の)」、動詞「コーヒーを飲む」の意味があります。“be coffeed out” で「コーヒーを飲みすぎる」と表現できます。これは便利に使えそうですね。
日本語で「コーヒーケーキ」というとコーヒー味のケーキを指しますが、英語で “coffee cake” はコーヒーに合うちょっとしたお菓子を意味します。日本語の「茶菓子」と似た言葉ですね。また、米国にはコーヒーを飲みながら気楽に語り合う集まりを指す “coffee klatch” という言葉もあります。日本語で「ちょっとお茶でも飲もう」というニュアンスに近いですね。
慣用句としては、“Wake up and smell the coffee!” という表現もあります。「問題から目を背けず、現実を見なさい」という呼びかけだそうで…朝いちばんに飲むコーヒーの芳醇なイメージとは裏腹に、厳しい一言ですね。
特に米国では、コーヒーが生活に欠かせない飲み物になっているコーヒー愛好家(“coffee addict”, “coffee lover”, “coffee person” などと言います)が大勢いることから、コーヒーにまつわる名言や格言が多数存在するようです。
お茶に関する表現
さて、日本で長らく親しまれている飲み物と言えば…まずはお茶かなと思います。その証拠に、日本語にはお茶にまつわることわざや慣用句が数多くあります。
「お茶の子さいさい」とは、非常に簡単であることを意味する日本語です。とあるAI翻訳で日本語から英語に翻訳してみると “Ochanoko Saisai” という結果でした。意味を反映すると “be very easy” で十分ですが、「お茶の子」(茶菓子、間食)のニュアンスを考慮すると “a piece of cake” や “be easy as pie” あたりがしっくり来るな~と思います。
やや応用的な表現だと「お茶を濁す」という日本語があります。AI翻訳の結果は “Make tea cloudy” となりました(直訳!)。意味を反映した英文としては、いくつかのアイディアがありますが、“avoid the point/issue”(要点を避ける)、“do ~ in a halfhearted way”(いい加減な気持ちでやる)あたりが使われるようです。
一方、英語の “tea” は紅茶(正式には “black tea”)を指すことが多いようですが、“tea” を使った英語表現にはどのようなものがあるでしょうか?
“a storm in a teacup” という表現は、直訳すると「ティーカップの中の嵐」。小さいものの中で起きる嵐、すなわち「取るに足らない小さな騒動」、「から騒ぎ」を意味します。
“my cup of tea” は「自分のお茶」、転じて「自分の好みのもの」や「お気に入り」を意味します。紅茶の種類、銘柄、飲み方は人それぞれ好みがあるところから、このようなイディオムができたとか。通常、何かをやんわりと否定するために “not my cup of tea” の形で使われるようです。
お酒に関する表現
お茶の次に親しまれている飲み物は…お酒でしょうか。筆者は残念ながらお酒には詳しくないのですが、万国共通で嗜好されている飲み物なので、お酒にまつわる表現は世界中に数多く存在します。
日本語で「飲む」という動詞は「お酒を飲む」という意味でも使われますが、英語でも同じく “drink” だけで「お酒を飲む」という意味になります。“I’m drunk.” で「酔っている」となります。“I drink alcohol.” は不自然な表現となるため要注意です。「二日酔い」(名詞)は英語で “hangover” です。ちなみに形容詞の場合は “hungover” となるので、こちらも要注意。
では英語のイディオム “drink like a fish” とは何でしょうか?これは「お酒をたくさん飲む」、「酒豪」を意味する言葉です。魚が口を大きく開けて飲むイメージから来ているとか。日本語にも「鯨飲」という言葉があり、こちらも「お酒を一度にたくさん飲むこと」を意味します。クジラは哺乳類ではありますが、発想が近くて面白いですね。
「酒は百薬の長」という言葉は古く、鎌倉時代の随筆集「徒然草」にも登場するようです(ただし、内容としては飲酒文化に対して否定的なものになっています)。そもそもの出典は中国の後漢時代に編纂された「漢書」なので、2000年近い歴史のあるフレーズなのですね。実は英語にも “Good wine makes good blood.” という類似の言葉があります。「良いワインは良い血を作る」――ワインが好きな皆さんには耳慣れたフレーズかもしれません。
まとめ
飲み物にまつわる日英表現を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?機械翻訳では直訳になってしまう表現は、人が意味を補足する必要がまだあるということがわかっていただけたかと思います。
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