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東欧きってのラテン民族国家~ルーマニアとその言語~

皆さんはラテン民族、ラテン国家と聞くとどのような印象を覚えますか?明るくて陽気でフレンドリーな開放的な性格やお国柄というイメージが一般的かと思います。国でいうとイタリア、フランス、スペイン、ポルトガルが当てはまりますが、中南米もポルトガル語やスペイン語を使用するラテン民族です。

ヨーロッパにおけるラテン民族の分布をみてみると、アジアに最も近い東ヨーロッパにもラテン系民族が存在し、その大部分を占めるのがルーマニアです。今回は東ヨーロッパの中のラテン言語であるルーマニア語について紹介します。なじみがない、聞いたことがないという人も多いかもしれませんが、実は数年前に日本でも流行していた歌の中にもルーマニア語で歌われていたものがありますので、そちらも合わせてご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.ルーマニアってどんな国
  2. 2.公用語
  3. 3.ルーマニア語の特徴
    1. 3.1.
    2. 3.2.名詞の性
  4. 4.ルーマニア語とモルドバ語
  5. 5.日本でも流行したあの歌
  6. 6.機械翻訳サービス
  7. 7.まとめ
  8. 8.参考文献
  9. 9.川村インターナショナルの翻訳サービス

ルーマニアってどんな国

ルーマニアは東ヨーロッパにあり、周辺の国の中では比較的面積が大きいですが、日本の本州と同じくらいの面積です。大きなカルパチア山脈が通っていて、東側は黒海に面しており美しい自然に恵まれた国といえるでしょう。また歴史的な建造物も多く観光地としても申し分ありません。

下の写真もその1つです。

Arcul de Triumf by George Groutas is licensed under CC BY 2.0

パッと見たときにフランスの凱旋門かと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実はこちらはルーマニアの首都にあるブカレスト凱旋門です。ルーマニアの独立を祝した大きな門であり、施された美しい彫刻も素敵ですし、門を登ってブカレストの街並みを堪能することもできます。ほかにも吸血鬼ドラキュラの舞台になったとされるブラン城や、「国民の館(カーサ・ポポールルイ)」と呼ばれている巨大な国会議事堂など、印象深い建造物を楽しむことができます。


公用語

ルーマニアの公用語はルーマニア語で、全人口の9割近くが話しています。その他は近隣国のハンガリー語や、一部ではドイツ語を話す人もいます。イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語と同じ、現代のロマンス言語の系統ではあるのですが東ヨーロッパという場所柄、ロシア語などスラブ語系統の語彙を連想させるものもあり、そこが特徴的な点といえるでしょう。


ルーマニア語の特徴

文字はラテン文字を使用します。普段英語で目にするアルファベット+αになるので、どうしても日本人からすると難しそうな印象を受けると思います。よくよく見ると英単語と同じ雰囲気の単語も多くありますが(例:男子学生_student、問題_problemă)、それでもやはり特徴的なルールもありますので例を交えていくつか紹介します。

〈例1〉男子学生 student


男子学生(1人)は・を → un  student
 
男子学生(1人)の・に → unui  student

 〈例2〉女子学生 studentă


女子学生(1人)は・を → o  studentă
 
女子学生(1人)の・に → unei  studente※


ルーマニア語の名詞には「格」という概念があります。

  • 主格:主語を表す 
  • 属格:「~の」 
  • 対格:「~を」 
  • 与格:「~に」

上記の例1を見ると、「student」は学生を意味する名詞ですが、格ごとに名詞が変化するわけではありません。しかし、その名詞に対応する不定冠詞(英語でいうaとan)が異なります。主格と対格では「un」、属格と与格では「unui」と変化します。


名詞の性

これはヨーロッパ言語ではよくありますが、名詞には男性名詞女性名詞、さらに詳細は省略しますが中性名詞という3つに分けられます。例2では女子学生を表すときにはまず名詞が「studentă」になります。さらに名詞が女性名詞だと不定冠詞も、主格と対格では「o」、属格と与格では「unei」と変化します。

※例2で属格と与格の語尾が「ă」から「e」に変化しているのは、格ごとに名詞が変化してしまうという例外です。

この4文だけでもルーマニア語の文法の細かな複雑さが垣間見えたのではないでしょうか。他にも定冠詞(英語でいうthe)に対応する単語はなく、定冠詞語尾として名詞の後ろにくっつきます。これもまた名詞の性で変化したり、名詞の語尾が何かによっても変化したりします。

なかなかハードルが高い言語ではありますが、興味をもった方は是非調べてみてください。


ルーマニア語とモルドバ語

モルドバはルーマニアの北東にある、最初に紹介した東ヨーロッパにあるラテン語族の国の1つです。現在、モルドバの公用語はルーマニア語ですが、かつてはモルドバ語を公用語としていました。モルドバ語は、ルーマニア語と単語や文法は同じですが、キリル文字(ロシアなどで使用されている)を使用する言語です。モルドバは度重なるロシア(ソ連)からの占領でキリル文字を使用していましたが、ソ連のペレストロイカを契機にモルドバでも起こった民族主義運動に伴い、1989年にルーマニア語が公用語として制定されました。言語、文字と民族の強い結びつきがわかる興味深いケースだと言えるでしょう。


日本でも流行したあの歌

2004年ごろから日本でも流行した「恋のマイアヒ」という歌をご存じでしょうか。曲名でピンとこない人も、その独特なリズムや歌詞の雰囲気に聞き覚えがある人は多いかと思います。O-Zoneというモルドバ出身のアーティストによるこの楽曲は、実は「Dragostea Din Tei〈ドラゴスタ・ディン・テイ〉」という原題で、タイトルも歌詞もルーマニア語です。

日本のみならず世界中で流行しBillboard Hot 100でも1位を獲得しています。日本のテレビ音楽番組でも披露されていますし、さらに、あたかも日本語に聞こえる歌詞(いわゆる空耳)を元にした動画が当時ネットで大バズりして社会現象となりました。ルーマニア語がどのような言語か聴いてみたいと思ったら、この曲を聴くのが最もイメージが分かりやすいのではないでしょうか。



機械翻訳サービス

ルーマニア語に対応している機械翻訳サービスは以下になります。

  • DeepL
  • Google translate

※2024年9月時点


まとめ

以上、東ヨーロッパの中で発展してきたラテン系の言語であるルーマニア語についてご紹介しました。

ルーマニア語にはなじみがないと思われる方も多いでしょうが、実は当時日本でも流行していた歌で日本のお茶の間にも流れていました。普段は目にすることはあまりないかもしれませんが、少しでも身近に感じていただければ幸いです。


参考文献

ルーマニア観光局 (romaniatabi.jp)
ラテン人とは?歴史・年表まとめ【特徴や起源、名前の由来、文明、文化まで紹介】 - レキシル[Rekisiru]
 ルーマニア語, 文字と音|青奇家 (seikiya.com)
 ルーマニア語 - Wikipedia
モルドバ語 - Wikipedia
恋のマイアヒ - Wikipedia


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