英語ライティングのコツ シンプルに伝える
難しい英語を書けたとき、「やったぞ」と自らの英語に感心する方はいませんか?
その気持ち、分かります。
でも待ってください。その英語、ちゃんと意味が伝わりますか?難しい言葉で、伝えるべき内容をぼやかしていませんか?
難しい言葉を使ったり遠まわしな言い方をすると、一番大事な要素が分かりにくくなります。
逆に、シンプルに表すと、意味はすっと伝わります。
今回の記事では、翻訳会社に勤務する制作担当が感じる 読み手に伝わりやすい英文ライティングのコツを「シンプルに表現する」という点に着目して紹介します。
目次[非表示]
- 1.コツ① いらない言葉を容赦なく切り捨てる!
- 1.1.ステップ1:副詞を切り捨てる
- 1.2.ステップ2:不要な修飾を切り捨てる
- 2.コツ② 動詞を名詞にして使わない
- 3.コツ③ 能動態を使う
- 4.おまけ:練習問題
- 5.まとめ
- 6.川村インターナショナルの翻訳サービス
コツ① いらない言葉を容赦なく切り捨てる!
英文を書く際、ついついやってしまいがちなことが「余分な表現を盛り込んでしまう」ことです。さっそく、例を見てみましょう。
When you are successful in writing English in a very sophisticated manner, |
これは冒頭の「難しい英語を書けたとき」を英語で書いた一例です。
文法は間違っていませんが、何かおかしい。意味が伝わりにくい。何がおかしいのでしょうか。
お気づきかもしれませんが、無駄な言葉が多いです。元の日本語文では「難しい英語を書けたとき」と表現しただけなのに、英語にするとこんなに長くなるわけがないですよね。無駄な言葉で文を装飾してしまっているため、一番伝えたい点が埋もれてしまっています。
そこで、読み手に伝わりやすい英文ライティングを実践するには、思い切って余計な言葉を切り捨ててみましょう。
ステップ1:副詞を切り捨てる
例えば、先ほどの英文を以下のように変えてみます。
When you are successful in writing English in a very sophisticated manner, |
「very」は中身のない言葉の代表格です。品詞でいうと、副詞と呼ばれ、動詞や形容詞を修飾するとても副次的な要素です。分かりやすい英文のために、この余計な「very」を切り捨てましょう。
ステップ2:不要な修飾を切り捨てる
先ほど短くした英文を、さらにスリムにしてみます。
When you are successful in writing English in a sophisticated manner,
|
「洗練された」に該当する「in a sophisticated manner」は、具体的な意味を持ちません。切り捨てます。
上記のような無駄なつなぎ合わせのための言葉(filler words)には、定型化されたものもあります。ほんの数例を紹介します。
- As is well known (よく知られているとおり)
- As has been shown (ここまでで分かっているように)
- It can be regarded that(~とみなすことができる)
- It should be emphasized that(~ということを強調したい)
- Needless to say (言うまでもなく)
このような、具体的な意味を持たない言葉を切り捨てると、英文をより一層分かりやすくすることができます。
さて、ここまでのブラッシュアップで、元の文と比べると、だいぶスッキリとした英文ができました。しかし、それでもまだスッキリしない、と思う方もいるのではないでしょうか。
次のコツに着目しながら、引き続き英文を磨いていきます。
コツ② 動詞を名詞にして使わない
分かりやすい英文を書くのであれば、動詞でシンプルに表現できることを、わざわざ名詞にして使わないようにしましょう。これも、論旨を効果的に伝えるにあたって有効なコツです。
実際に動詞を名詞化した例を見てみましょう。
- Makes a decision > decides
- Provides an estimate of > estimates
- Offers an assessment of > assesses
- Provides a review of > reviews
- Offers confirmation of > confirms
- Provides a description of > describes
本来の動詞を名詞にして、さらに新たな動詞をくっつけています。日本語でいう「~することができる」のような表現ですね。本来の動詞一語で表現してしまえば、英文は簡潔になります。
それでは、先ほどの例に戻ってみましょう。
When you are successful in writing English, |
Writing が名詞(動名詞)として使われていたため、文が冗長になっていました。
これを動詞にして書き換えると、より簡潔で意味の伝わりやすい英文ができました。
コツ③ 能動態を使う
最後に、使ってしまうと英文が読みづらくなる「受動態(受け身)」を紹介します。
受け身を使うと英語が不自然になったり、意味上の主語(行為者=「誰が」)が不明確になるので、多くの場合に使用は推奨されません。
例を挙げてみます。
能動態:She throws the ball. |
「彼女がボールを投げた」を英語で表現する場合、話し言葉では、ほとんどの人が能動態を使うと思います。実際に受動態と能動態を比較してみると、いかに受動態が冗長な表現であるかが分かるとおもいます。しかし、論文などの英文ライティングでは、ついつい使ってしまいがちです。
実際に、受動態で書かれた文を能動態に書き換えた文の例を見てみましょう。
受動態:My first visit to Oregon will always be remembered. (by me) →能動態:I will always remember my first visit to Oregon |
受動態:Cigarette ads were designed to appeal especially to children. (by who?) |
いかがでしょうか。元の受動態の英文を見てみると、いかにも書いてしまいそうな英文ですね。上記の2例目では、受動態を使うと「誰がデザインしたのか」という情報が伝わりません。能動態を使うと、必要な情報が明確に伝わるということがお分かり頂けたかと思います。
おまけ:練習問題
最後に例題です。ぜひこの文を思いっきり短くしてください!
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正解はありませんが、修正の一例を以下に載せておきます。ぜひ読み比べてみてください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?伝わりやすい英文を書くにあたって「シンプル・イズ・ベスト」がカギとなってくることがお分かり頂けたと思います。英文ライティングの際は、ぜひこの3つのコツを意識してみてください。
そうすれば、より伝わりやすい英文が出来上がるはずです。
なお、本記事の執筆にあたっては、教育サイトCourseraで公開されているコース『Writing in the Sciences』 (Dr. Kristin Sainani、COURSERA『Writing in the Sciences』。(Dr. Kristin Sainaniの承諾を頂いています。)
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