機械翻訳VS人手翻訳~マニュアル活用編①~
シリーズ「機械翻訳VS人手翻訳」が好評であることを受け、今回は、「機械翻訳VS人手翻訳 番外編」の第2弾、「マニュアル活用編」と題して、マニュアルの翻訳に機械翻訳を活用できるかみていきたいと思います。今回はその1回目となります。マニュアルの翻訳に機械翻訳を活用したいと考えている方、また、機械翻訳を活用することのメリットやデメリットを知りたい方はぜひご一読ください。では早速本編に入っていきたいと思います。
前回までの記事はこちら:
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機械翻訳はマニュアルに使えるか?
製品を販売するにあたり、必ず必要になるもの…。それはマニュアルです。一口にマニュアルと言っても、さまざまな種類がありますよね。
例えば、ユーザーが製品を操作するための手引きとなるユーザーマニュアル、管理者が使用する管理者ガイド、技術者向けのサービスマニュアルなど、多くの種類のマニュアルが存在します。製品やサービスの海外展開にあわせてマニュアルも海外向けに他言語で展開するとなると、当然ながら展開する言語の数だけ翻訳も必要になります。
マニュアルを作成するだけでも相当な労力を要するのに、言語の数に応じた作業工数が発生するため、莫大な費用と時間がかかる。なんとも悩ましいことです。多言語展開に機械翻訳を活用して、この悩みを軽減することはできるのでしょうか。結論から言ってしまえば、機械翻訳の精度が飛躍的に上がってきていることもあり、機械翻訳はマニュアルの翻訳に十分活用可能であると言えます。
それでは、機械翻訳が本当に使えるのかどうかを、そのメリットとデメリット、人手翻訳との比較による検証、機械翻訳の活用方法などをみながら考えていきたいと思います。
機械翻訳を使うメリット・デメリットって?
まず、機械翻訳を使うにあたり、メリットとデメリットを整理しておきましょう。人手翻訳と比べた場合、機械翻訳には大まかに次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
・費用を抑えることができる ・早く翻訳できる |
デメリット
・品質が落ちる |
翻訳する文書の分量にもよりますが、機械翻訳は、数秒から数十分という非常に短い時間で翻訳を完了することができます。また、多くの機械翻訳サービスでは、処理できる文字数に制限を設けていないところが多いため、大ボリュームの翻訳を安価で済ませることが可能です。
しかし、機械翻訳はコストと納期の面では有利ですが、精度が大きく向上したとはいえ、残念ながら品質面では不安が残ります。そのため、他言語でのマニュアル展開に機械翻訳の活用を考えている場合、その特性を理解したうえで、どのようなマニュアルが機械翻訳に適しているのかを知っておく必要があります。
機械翻訳向きのマニュアルとは?
先述の通り、機械翻訳のデメリットは品質面で劣るということです。逆に言えば、このデメリットが許容できる種類のマニュアルであれば、機械翻訳向きと言えるでしょう。
では、どのようなマニュアルが機械翻訳向きと言えるのでしょうか。下記にいくつかの例をあげてみました。
・トレーニングマニュアル (社内向け) |
トレーニングマニュアルは研修目的などで使用され、通常は社内向けのものであるため、翻訳品質がそれほど高くなくとも内容が伝われば問題ないでしょう。また、サービスマニュアルのような技術者向けのマニュアルについても、エンジニアが内容を理解できればいいので、高品質な翻訳を必要としません。
つまり、クライアントが読み手でないマニュアルは機械翻訳向きと言えます。なお、誤解のないよう補足しておきますと、これは機械翻訳の出力結果をそのまま使えるという意味ではなく、人手による修正(ポストエディット)を多少なりとも取り入れることを前提としたうえでの評価です。この点についてはあらかじめご留意くださいね。精度が飛躍的に上がってきているとはいえ、機械翻訳にエラーはつきものであり、この点についてはしばらく解消されない状態が続くと予想されます。
それでは、クライアントが読み手でないマニュアルは機械翻訳には不向きなのでしょうか…。いやいや、そんなことはありません!前回の記事「機械翻訳vs人手翻訳⇒機械翻訳+人手翻訳」でご紹介しましたように、「TM(翻訳メモリ)+MT(機械翻訳)+PE(ポストエディット)」を組み合わせて一連のプロセスとして処理することで、クライアントを読み手として想定しているマニュアルでも機械翻訳を活用して適切に翻訳することができるようになります。
まとめ
さて、ここまでお読みいただいて、機械翻訳はマニュアル翻訳にも活用できそうだと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。翻訳対象となるマニュアルの用途や想定している読み手次第では、機械翻訳はマニュアルの翻訳に対しても大きな効果を発揮します。また、機械翻訳には不向きと思われるマニュアルに対しても、そのデメリットを補う工程を踏むことで十分活用可能となります。
なお、自社内での対応が難しいといった場合、川村インターナショナルにて本業務を受託することも可能ですので、ご不明な点あればお気軽にお問い合わせください。
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