英文開示におけるIR翻訳のAI活用~決算短信を迅速に英語化~
2025年4月よりプライム市場上場企業の決算情報および適時開示情報の日英同時開示が義務化となりました。
上場企業にはIR関連文書を英文化する取り組みが一層求められる傾向になってきました。開示業務に携わる方にとって、多忙な決算期に日本語版とあわせて英語版の、決算短信・経営トップのメッセージ・説明会資料(決算説明資料、事業説明会資料など) の翻訳準備することは、大きな負担となります。
昨今、いろいろな分野でAI翻訳が導入されており、年々その認知度が高まってきています。この傾向はディスクロージャー分野でも同様です。今回は決算短信を例に、IR関連文書の英文開示とAI翻訳サービスの活用方法をご紹介いたします。
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英文開示の実施率
IR関連文書の中でも、最も英文開示されているのが決算短信です。他の文書に比べるとボリュームが少なく、翻訳しやすいことも一因かもしれませんが、海外投資家向けの情報発信の手段として重視されているのが分かります。決算短信は速報としての意味合いが強いため、日本語版も英語版も特に迅速な開示が求められます。最近では和英同時開示をしている企業も増えてきています。
参照:英文開示実施状況調査集計レポート(2022年7月), 株式会社東京証券取引所
機械翻訳の導入で負担軽減
決算短信をはじめ、IR文書の翻訳には翻訳支援ツールの活用が必須です。IR文書の翻訳の原則は「過去訳の踏襲」。過去の対訳を収載した翻訳メモリを活用し、踏襲すべき部分はツールで置換するのが最善です。ただし、翻訳メモリを活用しても、新たに翻訳すべき文章(新訳)は毎回必ず発生します。この新訳の部分をいかに効率よく、素早く処理できるかで、多忙な決算期における英文開示の負担が大きく変わってきます。
ここで活躍が期待されるのが「機械翻訳」です。Google翻訳をはじめ、様々な機械翻訳が世に出てきて、この数年で機械翻訳の精度は飛躍的に向上しています。
みんなの自動翻訳@KI(商用版)
今回は弊社が提供している機械翻訳ソリューションのひとつである、「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」を例に見ていきます。みんなの自動翻訳は純国産の機械翻訳エンジン※で、開発元は国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)です。このNICTが開発した「みんなの自動翻訳@TexTra」のセキュリティ性などを高め、ビジネスでも利用できる仕様にしたのが、「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」です。
弊社の「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」は、特許/法令契約/金融など、分野に特化した文書や専門性の高い翻訳に強い機械翻訳エンジンを選択できるのが強みです。Google翻訳やDeepLなどの他社には、このような分野特化の区別はありません。
※機械翻訳エンジン:原文Aを機械学習されたデータを用いて訳文Bに翻訳するシステム
金融(IR/適時開示)エンジン
選択できる機械翻訳エンジンのうち、決算短信などのIR関連文書の英訳には、金融分野に特化した「金融(IR/適時開示)エンジン」が効果的です。各企業や団体等から収集したIR関連文書の翻訳データを基に開発された翻訳エンジンのため、決算や財務関連分野の訳出がスムーズに行えます。
他社の汎用的な翻訳エンジンよりも、IR関連文書の翻訳に優れており、決算短信、有価証券報告書、コーポレート・ガバナンス報告書、アニュアルレポート、ディスクロージャー誌、株主総会招集通知などの文書にお使いいただけます。
他社エンジンとの比較
百聞は一見に如かず。「金融(IR/適時開示)エンジン」と他社のエンジンとで、訳出結果にどのような違いが出るのかご紹介します。以下は決算短信の一部抜粋を両エンジンで英訳した場合の比較結果です。赤文字と黄色ハイライトの箇所にご注目ください。
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まとめ
このように、IR文書に特有の長い文章や、日本語の独特な表現のニュアンスも、「金融(IR/適時開示)エンジン」は正確に文意を解釈して翻訳できます。「金融(IR/適時開示)エンジン」の訳出結果を下訳として加筆・修正(エディット)すれば、最初から英訳を行うよりも遥かに効率的です。これが「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」が搭載している分野特化型エンジンの強みです。
多忙な決算期の限られた時間の中で、いかに効率よく翻訳作業を進めるか・・・。「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」 の導入と活用は最も有効な解決策です。IR文書の英文開示業務でお困りの場合、また、機械翻訳の導入をご検討の場合、川村インターナショナルにぜひご相談ください。皆さんに最適な翻訳サービスをご提案いたします。
川村インターナショナルの翻訳サービス
川村インターナショナルでは、「自社に最適な機械翻訳サービスがわからない!」というお悩みにお応えします。本記事でご紹介した「みんなの自動翻訳@KI(商用版)」のほか、さまざまな機械翻訳サービスを多く揃えており、セキュリティ要件、目的、分野、想定ユーザー層の要件に応じた幅広いご提案が可能です。
機械翻訳の活用をご検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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