翻訳会社社員が紹介する「四字熟語を英訳するとどうなる?」
アメリカ出身の筆者にとって、日本語を勉強し始めた頃は四字熟語ほど面白いものはありませんでした。たった四文字で凄い量の情報を伝える四字熟語に似たものは、母国語である英語にはありませんでした。英語には四字熟語はもちろん存在しませんし、その概念すらありません。しかし、似たような言葉は存在します。
本記事では、2つの四字熟語を例に挙げ、どのような英訳になるかをご紹介します。
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自業自得
「自業自得」は主にネガティブな印象を与える言葉ですが、筆者はそうではないと思っています。個人的な捉え方ですが、「いいことをすればいい結果がでる、悪いことをすれば悪い結果がでる」と言うようなニュアンスを持っていると思います。
英語には「自業自得」と同じ意味を持っている言葉が沢山ありますが、ここでは二つだけ例を挙げたいと思います。
You reap what you sow
一つ目は直訳に近い言葉ですが、「You reap what you sow」と言う諺です。
この諺の由来となる語源は1611年に発行された欽定訳聖書にあり、元の形は「for whatsoever a man soweth, that shall he also reap」です。とても古い言い方ですが、この言い方は時代とともに変わり、現代に使われている形となりました。
その現代の「You reap what you sow」に戻ると、英語ネイティブにも不慣れな言葉があって少し分かりづらいです。
「you」と「what」は何を指しているでしょうか?
「reap」は?
「sow」は?
英文の最後から始めないといけませんが、「sow」(発音は「ソー」)は「種をまく」と言う意味を持っています。英文の始まりに戻ると、「reap」(発音は「リープ」)は「(何かを)刈り入れる」になります。
この英文の「what」は「まかれた種」を指しています。
これらを合わせると、「自分自身でまいた種を刈り入れろ」という意味になります。
例:
A「I was up all night, I’m exhausted.」 (徹夜しちゃった、へとへとだ) B「Well, you reap what you sow.」 (ま、自業自得だな) |
You’ve made your bed; now you must lie in it
二つ目の例は、少し変わった言い回しで面白いと思います。それは「You’ve made your bed; now you must lie in it」です。
この英文は前半と後半に分かれています。
まずは前半の「You’ve made your bed」ですが、これはどういう意味でしょうか。
「made」は「make」の過去形、そしてその「make」はよく「作る」という意味で捉えられていますが、それなら少し辻褄が合いません。
ベッドは作るものですか?
そうだとしたら、どうやって作ればいいのでしょう?
「make」には多くの訳がありますが、この場合には「整える」や「綺麗にする」と言う意味が一番妥当だと思います。朝起きるとシーツや枕、毛布はある程度は乱れています。夜には、気持ちよくベッドに入れるよう、それらを整えるのがアメリカやイギリスでは大抵の大人も子供もやっている習慣です。
そのため、前半の文は「あなたは自分のベッドを自分で整えました」という意味になります。
後半の「now you must lie in it」はもう少し解釈しやすいと思います。
「it」はあなたのベッド自体のことを指していて、「must」は「やらなきゃいけない」と言う意味です。
「lie」はよく「lie down」として使われて「横になる」と言う意味になりますが、この場合「lie in it (your bed)」になっていますので、「ベッドに入る」となります。
ちなみに、布団の場合は、「lie in your futon」のように、同じ形で使えます。
後半の部分を合わせると、「そのベッドに入らないといけない」となります。
まとめてみると、「あなたは自分のベッドを自分で整えたので、そのベッドに入らないといけない」と言う意味になります。
例:
A「I was up all night, I’m exhausted.」 (徹夜しちゃったへとへとだ) B「Well, you’ve made your bed; now you must lie in it.」 (ま、自業自得だな) |
本末転倒
「本末転倒」の最も直訳的な英文はおそらく「to get one’s priorities out of order(何を優先すべきかを間違える)」でしょう。
ここでは、もう少し面白い例をご紹介します。
to put the cart before the horse
この表現が初めて英語の文献に出たのは1500年代の後半なのですが、そのはるか前のローマ帝国でも使われていたそうです。
ですが、どういう意味なのでしょうか。
「horse」(馬)と優先順位には何の関係があるのでしょうか。
その関係を解明するには、車が普及する前の時代に目を向けないといけません。
現代ではほとんど見られませんが、皆さんが知っている通り、昔の荷車は馬や牛によって引っ張られて動かされました。
「put the cart」は「荷車を置く」で、「before the horse」は「馬の前に」なので、これを合わせると、「馬の前に荷車を置く」と言う意味になります。
この場合、その荷車を馬の後ろではなく前に置いてしまうと、動かすことはもちろん、馬さんは前を見ることさえできなくなりますので、「順番をちゃんとしないといけません」と言うニュアンスを持っています。
例:
A「I sold my old car before buying a new one, and lately I have to walk everywhere.」 (新しい車を買う前に古いのを売ってしまって、最近はどこへ行くにも徒歩で行かなきゃいけないんだ。) B「Wow, you really put the cart before the horse.」 (わあ、そりゃ本末転倒だな) |
まとめ
四字熟語や同意語的な英語の言葉や諺はこの他にもたくさんあります。直訳的な表現もありますし、抽象的なすごく曖昧な表現もあります。
もしこれらの説明で少しでも気になったら、ぜひ好きな四字熟語を英語や他の言語で調べてみてください。きっと面白いものが沢山あります。
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