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事象が目的語に来た時のInformの訳し方 川村インターナショナルの翻訳ブログ

人だけじゃなかった!事象が目的語にきたときのinformの訳し方

馴染みのある単語でも、異なる意味と用法で使われる場合がまれにあります。

今回は、川村インターナショナルで翻訳者として働く筆者が、実際に業務で遭遇したケースをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.informの基本的な使い方
  2. 2.目的語にくるのは人だけじゃない
  3. 3.まとめ
  4. 4.川村インターナショナルの翻訳サービス

informの基本的な使い方

informという単語を聞くと、どんな訳が思い浮かびますか?一般的なのは、「~について知らせる」「~について伝える」のような訳だと思います。

よくある使い方としては、informの後ろに目的語として人を付けて、I informed him of the news.(私は彼にそのニュースを知らせた。)としたり、受動態にして、I was informed about her retirement.(私は彼女の引退について知らされた。)としたりします。


目的語にくるのは人だけじゃない

主語 + inform(動詞)+ 目的語」の形式で使う場合、目的語には必ず人がくる。そのような認識の方も多いのではないでしょうか。ところが先日、翻訳作業中、筆者はinformの目的語として人以外のものが使用されている文に遭遇しました。元の文に少し変更を加えてご紹介します。


This situation has informed a new concept.


補足として、この前文で、「コロナ禍でテレワークが普及したことで、安定性と安全性に優れたネットワークセキュリティソリューションの必要性が高まっている」といった説明があり、”This situation”とはその状況を意味しています。


最初にこの文を見たとき、恥ずかしながら意味がわかりませんでした。もしかして、informedのあとに「人 + of/about」が抜けているのかな?とすら思ったくらいです。しかし、「人 + of/about」を補ったとしても前後の文とつなげると辻褄が合いません。どうやら「人 + of/about」が抜けているわけではなさそうです。


そこで、人以外の目的語がinformの後ろに付くケースがないか探してみることにしました。試しに”informed a new”で検索してみると、同じように人以外のものが目的語になっている文がたくさんヒットしました。つまりこの文は間違いではないということです。


そこでinformの意味を辞書で確認することにしました。

英辞郎で確認した結果はこちらです。

1. 〔人に〕情報を与える、知らせる、通知[報告・連絡]する、告げる

2. 〔ある感情・特質・特徴で~を〕満たす

3. 〔作品などを〕特徴付ける

参照:informの意味・使い方・読み方, 英辞郎


……どれもしっくりきません。


次に英英辞典を確認してみました。

いくつか引いてみたところ、どの辞書も大体次のような意味でした。

1. to tell somebody about something, especially in an official way

2. to supply (oneself) with knowledge of a matter or subject

3. to have an influence on something


……こちらもいまいちピンときません。


そこで似たような構造の文の読んでみることにしました。辞書を引いても意味がわからないときは、このやり方も有効です。同じような文を読んでいると、自然と意味がつかめてくることが往々にしてあります。




先ほど“informed a new”でヒットした文のなかから今回の英文に近いものをいくつか読んでいると、意味が見えてきました。どうやら英英辞典にあったto have an influence on somethingの意味が当てはまるようです。最終的に、問題の英文は次の訳に納まりました。


This situation has informed a new concept.

この状況がきっかけとなり新たな概念が生まれた。


まとめ

informの目的語は人とは限らない。

今回のケースでは、informという比較的簡単な単語の新たな意味と用法を知ることができ、非常に勉強になりました。翻訳をしていると知らない単語に遭遇することは珍しくありませんが、馴染みのある単語の新たな一面を発見できるのもまた、翻訳という仕事のおもしろいところだったりします。


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