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翻訳者トライアル合格への道

翻訳者トライアル合格への道 ③

前回までのブログでは、翻訳者トライアルの実情について解説しました。三回目の今回は、実際のトライアルで注意すべき点についてさらに解説していきます。総仕上げとして、トライアル課題の提出までにどんなことを行うべきでしょうか。

目次[非表示]

  1. 1.製品名 (固有名詞) は必ず検索!
  2. 2.UI は実際のものを調べましょう
  3. 3.Wikipedia は根拠になる?
  4. 4.最初のセンテンスですべてが分かる
  5. 5.申し送るべきか否か
  6. 6.まとめ
  7. 7.川村インターナショナルの翻訳サービス

製品名 (固有名詞) は必ず検索!

原文中に製品名人名会社名などの固有名詞が含まれている場合は、必ず検索して正しい表記を特定しましょう。企業サイトや公式サイト上の表記をそのまま採用するのが鉄則です。有名な製品や文章中に分かりやすく表記されている箇所は正確に記述されている場合が多いですが、わかりづらいものやレアな製品名などは検索しきれておらず、例えば英語のままで表記しなければいけないものが訳出されていたりするケースが頻繁にあります。文脈を注意深く読み取り、判断がつかないものはこまめに検索したり、普段からさまざまな文献、記事を読んで製品知識を身に着けたりしておくことが肝心です。人名などの表記方法は発注元によってさまざまなケースがありますが、特に指示がない場合は訳文中での表記方法を統一することが重要になります。



UI は実際のものを調べましょう

固有名詞と同じ方針ですが、原文中に出てくる UI (ユーザーインターフェース) は可能な限り実際の UI 表記を特定して、使用しましょう。Windows や Macintosh のネイティブ UI であれば検索すれば特定できることが多いです (もちろん自分自身のマシンも参考にします)。ソフトウェアの翻訳などで、資料も提供されておらず、固有の UI が特定できない場合は、 訳出方法を統一しつつ仮訳をつけるのが通常の方法です。その際は UI の作業方針について申し送りをするとよいでしょう。

UI/固有名詞について、最近ではこういった要素についてトライアルで「調査力」を問う問題も増えており、評価として組み込まれています。「検索」が日常化した現代では、正しい情報に短時間で到達できる力も必要とされています。


Wikipedia は根拠になる?

誰でも編集できる、フリーなオンライン百科事典である Wikipedia は、多数の記事があり検索しやすい半面、その記事の信ぴょう性については常に議論の的になっています。正確さを要する内容の根拠とするには不十分ですが、ある言葉の人口に膾炙した意味を知ることができるサイトとして参照先の一つとして扱うのが無難です。


最初のセンテンスですべてが分かる

さあ納品!その前に、最初の一文または最初のパラグラフを再度読み込みましょう。この部分であなたの翻訳の第一印象が決まります。誤字脱字はもってのほか (でもかなりの頻度で間違いがあります!)、何度も推敲しておきましょう。実際の発注元への納品物でも、最初のパラグラフで品質を判断されるケースは少なくありません。それは他の箇所をおろそかにしているわけではなく、実際の読者も最初の一文、パラグラフが読みにくかったり、間違いがあったりするとその後の文章を読まなくなる確率が高くなることが分かっています。冒頭の文章の品質を限りなく高めておくことは実際の納品物の観点からも重要なことなのです。

また、可能な限り機械の力を借りるようにしましょう。Microsoft Word であれば「スペルチェックと文章校正」機能は少なくとも使用しましょう。また、市販の校正ツールとして「Just Right!」や「Xbench」も有効です。こういったツールでは、人力では見落としがちなミスや表記上のブレ、記者ハンドブックなどの一般的なスタイルとの不一致を自動で検出してくれます。文字数が限られているトライアルでも、誤字脱字や訳漏れなどの不注意ミスはかなり発生しています。そうした翻訳者に本番の翻訳を依頼することはまずないということを肝に銘じておくことが大切です。人力の表現力、調査力と機械の正確さ、スピードの両方を活用するすべを磨くことが現代の翻訳者には必須なのです。



申し送るべきか否か

翻訳する際には、翻訳者はさまざまな「決定」を行うことになります。どういった決定を下すかは翻訳者の腕の見せ所ですが、こうした決定には翻訳会社 (最終的には発注元) と共有すべきものがあり、提出した翻訳の根拠または代案を「申し送り」としてまとめ、提出します。

例えば発生した疑問点調査の履歴判断基準適用したスタイルなどが挙げられます。

提出した翻訳が翻訳会社 (または発注元) が望む内容ではなかったとしても、訳出の根拠を示すことで軌道修正が可能であることを示す材料となります。


申し送りは必須ではないことも多く、申し送りの送付について指示がある場合とない場合があります。禁止されていない限り、翻訳内容について申し送りを作成する方針でいきましょう。提出フォーマットが提供されている場合はそちらを使用しますが、指定がない場合は自分のフォーマットを用意します (常に用意しておくとよいです)。フォーマットはExcelファイルまたはテキストファイルが一般的です。

すべてのファイルの準備が完了した後、指定された方法で提出します。翻訳会社に届くまでがトライアルですので、ファイルの添付 (または指定された納品方法) も忘れないようにしましょう。


まとめ

いかがだったでしょうか。トライアル受験の際の一助になれば幸いです。次回は、実際の評価方法についてお伝えします。


川村インターナショナルの翻訳サービス

川村インターナショナルでは、翻訳の国際規格である ISO 17100 に基づき、トライアル審査に合格したプロフェッショナルの翻訳者に作業を発注しています。

案件に応じて各分野に精通した最適な方に依頼をし、「品質評価モデル」「翻訳品質機能展開」「PM 品質機能展開」を相互に機能させる TAFT システムで品質を管理することによって、お客様にご満足いただける翻訳サービスの提供を目指しています。

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