注目国シンガポールと独自の言語事情
アジアの経済ハブとして有名なシンガポール。立地上様々な民族・国籍の人が暮らしています。そんなシンガポールではどんな言語が話されているのでしょうか。シンガポールで在住・勤務経験のあるスタッフがご紹介します。
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シンガポールってどんな国?
シンガポール共和国(通称シンガポール)はマレー半島の南端に位置しており、日本からは約7時間のフライトで行くことができます。
国土はおよそ東京23区と同じ広さの約720平方キロメートルで、約564万人が暮らしています。(シンガポール共和国 基礎データ, 外務省, 2020年1月30日参照)
23区の人口は約965万人(東京都の人口(推計), 東京都の統計, 2020年1月30日参照)とされていますので、人口密度では23区の方が高いということがわかります。
そしてアジアを代表する金融センターとしてとしてロンドン、ニューヨーク、香港に次ぐ世界第4位と評価されており、1人当たりのGDPは64,581ドル(日本は39,290ドル)となっています。(GDP per capita (cuurent US$), the world bank , 2020年1月30日参照)
シンガポールで話されている言葉
シンガポールに住んでいる人は中国系(74%)、マレー系(14%)、インド系(9%)で構成されています。(シンガポール共和国 基礎データ, 外務省, 2020年1月30日参照)
そのため、マレー語、中国語、タミル語(インドのタミルナドゥ州で主に使われている言語)、そして英語が公用語として定められています。
シンガポールの看板。上から英語、中国語、マレー語、タミル語
シンガポールを訪れたことがある方は、観光及びビジネスで訪れるような場所であれば英語が全く問題なく使用でき、その上皆流ちょうな英語で対応してくれることに気が付くでしょう。シンガポールでは1970年代より初等教育(現在は4歳前後)から英語をベースとする2言語教育を開始しているため、1970年代以降に教育を受けたシンガポール人であれば問題なく英語と母語とする中国語やマレー語その他言語の2言語を問題なく話せるというわけです。しかしながらシンガポール人同士は日々流ちょうな英語もしくは中国語を話しているわけではありません。何語を使っているのでしょうか??
謎言語シングリッシュとは?
シンガポールの言語事情を語る上で欠かせないのが「シングリッシュ」です。「Singaporean English」に由来しており、英語にいろいろな言語の要素が混ざったシンガポール独自の言語(訛り)です。シンガポール人同士はほぼシングリッシュを使って意思疎通を図っています。観光にいってもホーカー(屋台)などローカルな場所で聞きなれない英語を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
シングリッシュはイギリス英語にマレー語、タミル語、福建語(中国語の方言の1つ)などの要素を強くのこした言語です。特徴としては下記のような点があげられます。
◇文の語尾につけられて強調を表す「lah(ラー)」(日本語でいう「~だよ」「~さ」のようなニュアンス)や、疑問文の語尾につけられる「meh(マ)?」(日本語でいう「~か?」のようなもの)を使う
私が実際に暮らしていてもこの2つの表現はよく聞く機会がありました。「OK, lah!(大丈夫だよ)」や「you want this meh?(これがほしいですか?)」など、慣れてくると自分も口走ってしまうこともありました。
◇be動詞、to不定詞、主語などが省略される
例えば「できますよ」なら「You can」というべきところですが、「can」とだけ言い、主語の「You」が省略されたりします。
◇過去形・現在形・未来形の時制による語尾変化も無くなって、現在形に統一されている
例えば「I go yesterday」「I go tomorrow」といった具合です。また、三単現の「s」も省略されて「He goes」のところを「He go」ということがあります。
◇福建語・マレー語など他言語からの借語が多々ある
例:「散歩する」=jalan-jalan、「おばさん」=tai-tai、「かわいい女性」=chio bu、「馬鹿」=siao、「食べる、食事」=makan、「あちゃー」=Alamak など
◇発音に特徴がある
語尾の子音が抜け落ちる-Ticketなら「チケッ」、Chopなら「チョッ」、Japaneseは「ジャパニッ」といった発音になります。
長音が省略される-「Cart」は「カート」ではなく「カッ」、「Don’t walk」なら「ドントウォーク」は「ドンウォッ」といった発音になります。
文法などはかなり簡易化されており、英語がネイティブでない私たち日本人からすると正式な英語よりむしろ理解しやすいかもしれません。
出典:LINE Sticker Singaporean Moon Special
筆者のシンガポール人の友人は英語と中国語を母語としていますが、シングリッシュの影響でマレー語の単語もわかるものが多いそうです。また日常的にシングリッシュを使っているので、英語圏を訪れた時にシングリッシュを話さないように気を付けなければいけないとも言っていました。
シンガポール政府はこのシンガポール独特の訛りと言われるシングリッシュの排除に取り組んでおり、公共放送機関では使用が禁止されています。しかし、イギリスやオーストラリア、ニュージーランド等英語を母語とする国でもそれぞれ発音や使用する単語に違いがあるため、どこまでがシングリッシュなのかは程度の問題とも言われています。
まとめ
多民族国家を背景として生まれたシングリッシュは独自の進化を遂げています。観光でも大人気のシンガポールでシングリッシュに触れてみてはいかがでしょうか。
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