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翻訳会社との上手な付き合い方 見積編

翻訳会社との上手な付き合い方 Vol 4 ~見積り依頼~

翻訳会社との上手な付き合い方 Vol 3では、品質と納期について説明しました。

今回のVol.4ではいよいよ「見積り」の依頼についてです。少しでも「安く」「早く」と思うのは当然ですが、そのためには、見積り時にできるだけ詳細かつ正確な情報を提供する必要があります。この記事では、見積りを依頼する前に準備しておきたい事項について説明します。


翻訳対象のドキュメント(ソースファイル)

翻訳対象のドキュメント(ソースファイル)は必須ですが、そのほかにも以下の点に注意する必要があります。


翻訳対象の範囲

特に指定がなければ、ドキュメント全体を翻訳対象として見積りが算出されます。翻訳不要の個所や原語のまま残しておく箇所がある場合は、その旨を伝えて翻訳対象の範囲を明確にする必要があります。

また、図表内やヘッダー/フッターの文言、索引やPowerPointのノートなどについても、翻訳対象かどうかをあらかじめ伝えておくと、見積りがスムーズに進みます。


ターゲット言語

同じ言語でも、国や地域によって単語や表現が異なることがあります。たとえば、中国語には表記に簡体字と繁体字があり、どちらを使用するかは地域によって異なります(詳細は「簡体字?繁体字?その中国語、正しいですか?」参照)。また、スペイン語はスペイン本国と中南米諸国では単語や表現が異なります(詳細は「欧州翻訳紀行 vol.1 スペイン語」参照)。そのため、言語によってはこのような点に注意が必要です。


納品形態

納品物の仕上がりについてもあらかじめ伝える必要があります。

よくある納品形態として、下記の3パターンがあげられます。


1. ベタ打ち

訳文のみをファイル上に記載して納品する方法。訳文のみを必要とする場合に適しています。
原文と同様の体裁にはなりませんが、原文内で出現する順序どおりに訳文を記載するため、原文と照合すれば該当箇所を確認することができます。Wordファイルでの納品が一般的です。

仕上がりが早く、コストを抑えられるというメリットがありますが、視認性がよくないため、原文の該当箇所と照合しにくいというデメリットがあります。


2. 原文訳文併記

原文と訳文を併記した状態で納品する方法。対応箇所を一目で確認したいという場合に適しています。たとえば自社や制作会社様で外国版のパンフレットを制作するために、原文のファイル上で訳文を上書き(流し込み)する想定の場合、訳文が原文と併記になっていると効率よく作業できます。ExcelまたはWordファイルでの納品が一般的です。

原文訳文の対照がしやすいというメリットがありますが、対訳の形式によっては、コストや時間がかかるというデメリットがあります。


3. レイアウト

翻訳後に原文と同様の体裁にして納品する方法。納品データを印刷するなど、そのまま使用する場合に適しています。
原文データ上で訳文を流し込み、原文と同様の体裁になるように調整を行ったあとに納品します。制作データにはいくつか種類がありますが、カタログ(ペラ・2折りなど)であればIllustrator、マニュアルなどのページものであればInDesignやFrameMakerなどがあります。

加工が不要でそのまま使用できるというメリットがありますが、コストと時間がかかるというデメリットもあります。


原文データ

翻訳+レイアウトの場合、上書きが可能なソースファイルがあるかどうかで価格と納期が変わります。
PDFは上書きができないため、WordやInDesignなどのソフトウェアでデータを再作成する必要があります。
そのため、原文のソースデータがある場合と比較すると、コストと時間が必要になります。


参考資料など

用語や表記に関する情報を提供することも重要です。
翻訳後に修正する、あるいは一から翻訳しなおすことになるようなリスクを回避するために、用語集やスタイルガイド(表記に関するガイドライン)、翻訳対象のドキュメントに関連する資料などがあれば、翻訳会社に提示しましょう。
また、対象読者や用途などの情報も工程や訳調を決める上で重要になります。お客様が求めている品質の翻訳を翻訳会社が提供するにはこういった情報が欠かせません。

  翻訳のお見積もりご相談ください | 翻訳会社川村インターナショナル お見積もり無料!こちらの見積もり入力フォームへ入力またはお電話でも受付可能です。翻訳言語、ファイル形式、参考資料有無、ご希望の納期などを伺わせていただきます。お見積もり依頼はぜひお気軽にお問い合わせください。 翻訳会社川村インターナショナル


まとめ

見積りの際にお客様がお持ちの情報をできる限り提供していただくことが、納期と価格が適正で、品質も希望どおりの翻訳の実現につながります。
この記事の内容を参考にして、必要なファイルなどを用意し、確認事項を明確にしてから、見積りをご依頼いただければと思います。

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前田耕二

前田耕二

KI Hong Kong, Limited 取締役。 川村インターナショナル香港現地法人の代表として2012年より香港にて勤務。 中国語および東南アジア言語のローカリゼーション業務に従事。

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