読んでもらえる指示書づくり
読んでもらえる指示書づくり
これまでに仕事で「指示書」を作成されたことがありますか?
誰かに仕事を依頼する際、特に外部の方に仕事をお願いする際に「指示書」を作成したことのある方は多いかと思います。
指示書のフォーマットがある場合は、所定の項目を埋めるだけでOKなので、指示書の作成は簡単です。しかし、指示書をイチから作成しなければならない場合、これはなかなか骨が折れる作業です。
翻訳会社でも、外部の翻訳者さんに案件を発注する際に指示書を作成し、お渡ししてます。
もちろん、お客様の求める仕様によって指示書の内容は大きく異なるため、場合によってはフォーマットを活用できずに指示書をイチから作らなければいけないケースが多くあります。
これだけ苦労して作っても、指示書は作業者に読んでもらえ、理解してもらえないとまったく意味がありません。
今回の記事では、翻訳会社のコーディネーターが、作業者に「読んでもらえる指示書」作成について、経験を振り返って気づいた気を付けるべき点をまとめてみました。
翻訳会社ならではの気づきもあると思いますので、みなさんの「指示書」作成のお役に立てればうれしいです。
翻訳会社にとって、お客様の希望に沿った成果物を納品することは一番重要です。
この重要な点を果たすためには、翻訳者さんに正確かつ効率的に案件の仕様を伝え、納期までに希望する品質の訳文を提供してもらうようお願いする必要があります。
ここで、翻訳者さんに案件を依頼する際にお渡しする「指示書」に、作業の要点や仕様がきちんとまとめられており、かつ読みやすい形式でお渡しすることが重要になってきます。
指示書の指示内容が分かりづらかったり、読みづらかったりすると、仕様に関する誤解が発生し、案件全体の品質に悪影響を及ぼしかねません。
つまり「指示書」の品質は翻訳の品質を保つためにも、非常に重要な要素なのです。
それでは読んでもらえる指示書とは、どのようなものなのでしょうか?以下にポイントをまとめてみました。
それでは、これらの点について詳細を確認していきましょう。
指示書において「必要な情報が記載されている」ことは当たり前ですが、この情報が整理されて読み手にとって分かりやすくまとめられていることが、読んでもらえる指示書を作るうえでのポイントとなってきます。
指示書を作る際は、工程順に目次を作成し、それぞれの工程で必要な情報がちゃんと記載されている状態にしましょう。「指示書」という性質上、Wordを使用して作成するのが望ましいです。
ここで、悪い例を見てみましょう。
定期的に発生する翻訳案件や、長期にわたる翻訳案件では、後から案件受注時の仕様に追加の仕様が加わることが多いです。例えば、新規用語の訳語、特定箇所に関する訳し方のルール、エラーチェック方法の指示など、案件が進むにつれ、指定すべき仕様が増え、それらを作業者にもれなく伝える必要があります。ここですべきでないことは、追加された仕様を既存の指示書に脈絡なく追加していくことです。追加の仕様は、その仕様がどの工程で影響するのかを確認し、目次に沿ってふさわしい箇所に追記するようにしましょう。
また、指示書を更新する際は、どの情報がいつ追加されたかを明記するのも忘れずに。更新箇所が明記されていると、すでにその指示書を使ったことのある作業者は、更新箇所だけを確認すればよいので指示書をイチから読む必要に迫らせません。
指示書の作成において、意外と見落としがちなのが「スタイル」です。
指示の内容が正確であれば品質に問題ないだろうと高をくくり、指示書内で使用する記号、行間等の細かい点について統一できていない、なんてことはありませんか?
また、あらゆる場所に記載された仕様を指示書にまとめるにあたり、コピー&ペーストを繰り返し、フォントやサイズがバラバラになってしまっている、なんてこともあるかもしれません。
このような、いろいろな面で不揃いの多い指示書は、見栄えが悪くなり、読み手に取って見づらい文書となってしまいます。
また、指示書内で記号の使用方法が統一されていないと、括弧内に重要な内容を記載してしまう、なんてことも起こり得るため、作業者にとって情報の優先度の理解が難しいものになってしまいます。
このような見栄えの悪い、まとまりのない低品質の指示書を渡すことになると、外部作業者の会社に対する評価が下がり、指示の確認や見直しが少し甘くなる、といったことや、重要事項の見落とし等を生む危険があります。
お分かりいただけたかと思います。指示書の「スタイル」を統一することは重要なのです。
スタイルを統一することで、見栄えもよく、情報の優先度の整った読みやすい指示書を作成することができます。
指示書を書き終えた後は、テキストを全選択し、フォントの揺れがないかのチェックや、文字サイズの確認等細かい点に対しても注意し、細かい点においても指示書の品質を下げないように注意することをおススメします。
ここで、翻訳会社目線のポイントを一つお伝えします。
各翻訳案件では、それぞれの文書のスタイルが指定されています。スペースをどこに入れるか、記号は何を使用したらいいか、半角全角記号どちらを使用するか、などが指定されています。
ここでおススメなのが、指示書もその翻訳対象のドキュメントの指定スタイルを踏襲した形で記載してしまう、という手法です。
指定のスタイルを踏襲した文書の具体例にもなりますので、実際の翻訳中にスタイルについて疑問が生じたときも、指示書を参照すれば解決する、というケースが出てくるかもしれません。
案件ごとに変化するスタイルは、エラーを引き起こす原因のひとつです。
翻訳会社でなくても、「文章を書くこと」を依頼する指示書などでは、エラーの発生をなくすためにも、このような点で工夫をしてみるといいかもしれません。
また、指示書を作成することで、もう一つ工夫できる点があります。
指示書で色を活用し、分かりやすく強調表示などをしている方は多いかと思います。
これも理想的な指示書を作るポイントの一つですが、その際の配色については、どのような工夫をされていますか?
おススメは、案件に沿った配色を使うことです。
例えば、クライアントの企業イメージカラー等を参考に、指示書等の資料でハイライトや文字の色を似たような色で統一したりしています。案件固有の統一的な色を使用することで、指示書が該当案件に関連付いた資料であることを読み手がより強く認識できます。
いかがでしたでしょうか。読んでもらえる指示書づくりについて、以上のポイントがヒントとなれば嬉しいです。
他にも、敬体常体の使い分けや、案件によって読み物として作成するか、または、画像を多用して視覚的に説明する方が効果的か、といった点についても、工夫できる部分がたくさんあります。そのため効果的な資料作成に関しては、まだまだ研究するべき内容が多くあります。
他にも工夫すべき点など知りたい点がありましたら、以下のフォームからフィードバックをお気軽にお送りください。